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イスラエル、テルアビブ(EuropaWire):1964年のこと、ラファエル・ミシューラム教授は、ビニール袋に入った5キロのレバノン産高級ハシシを、公営バスを使い、レホボトにあるワイツマン科学研究所の自分の研究室まで運びました。芳しい香りを放ちながらのこの道行が彼にとって運命的なものであったことがやがて明らかになります — 彼はこのとき運んだハシシを使って、大麻草に含まれる向精神物質、テトラヒドロカンナビノール(THC)を発見したのです。それはそれまで何十年もの間、科学者たちが試みて果たせずにいた発見でした。20年後、ミシューラム博士は、THC が人体で最大の受容体ネットワークであるエンドカンナビノイド・システム(ECS)に作用することを証明しました。さらに、人間の脳は自ら大麻と同じ成分を産生することを突き止め、この化学物質は、サンスクリット語で「至福」を意味するアナンダという言葉をとってアナンダミドと名付けられたのです。

大麻草が世界的に非合法であるがために、ほとんどの研究者・医療従事者は未だ知らずにいますが、エンドカンナビノイド・システムの重要性は日に日に高まっています。ECSは「人体のホメオスタシス(恒常性)を維持するスーパーコンピュータ」とも呼ばれます。脳、そして重要な臓器のすべてに受容体が発現しているため、ECS はほとんどの疾病に関与していると考えられています。これが、大麻が多種多様な疾病に奏効する理由の一つです。ミシューラム博士は世界中の科学者の誰よりも長く、また深くカンナビノイドを研究してきました。発作性疾患、統合失調症、PTSD の治療に大麻が果たす役割について明らかにしたのもミシューラム博士です。博士は科学者として数々の賞を受賞し、世界的に「カンナビノイド医療の父」と認められています。

『The Scientist(科学者)』は、ブルガリアでホロコーストの時代を過ごした博士の幼少期から、イスラエルへの移住、そして、この世で最も誤解された植物の化学特性に関する研究の第一人者としてのキャリアまでを追うドキュメンタリーです。

「ダーウィンは、進化論の概念を完成させると、教会が何と言うかを恐れ、その後 20年間それを引き出しにしまったままでした」— 『The Scientist』の脚本、制作、編集を手掛けたザック・クライン(Zach Klein)は語ります。「ミシューラム博士は科学者として非常に偉大であったため、中傷されることこそありませんでしたが、博士が発見したことを世界が理解するには時間がかかりました — 薬物撲滅戦争の開始以来、大麻草が悪者にされてきたからです」

クラインがミシューラム博士と出会ったのは、彼の母親が乳がん治療中、大麻草がどのようにして抗がん剤治療の副作用を軽減するのかを調べていたときでした。それが彼の初のドキュメンタリー作品『Prescribed Grass』の制作につながり、2009年にイスラエルのテレビで放映され、それがイスラエルの保険当局を動かし、現在では世界最大の国営医療大麻制度が発足したのです。


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