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Updated: February 2, 2019

人をハイにはさせないが、医学の研究者や患者を大いに興奮させている CBD。昨年は、重要な医療効果を持ちながら陶酔作用を持たない大麻成分、カンナビジオール(CBD)に対する関心が急激な高まりを見せました。数々の民間スタートアップ企業やネット小売業者がこの流行に飛びつき、ヘンプ由来の CBD を、次なる大ヒット商材だともてはやしています—腫瘍を小さくし、てんかん発作を治め、慢性疼痛をやわらげ、しかもハイにはならない奇跡のオイルだと。でも、CBD の認知度が高まり、その健康効果が知られるようになるにつれて、誤解もまた増え拡がっています。

#1 「CBD は医療用、THC は嗜好用」

Project CBD には、世界中からたくさんの問い合わせがあります。そして、大麻草の「ハイになる嗜好用成分 THC」ではなくて「医療用の成分である CBD」を探しているのだが、とよく言われます。でも実は、「ハイになる」THC には素晴らしい医療効果があるのです。サンディエゴのスクリプス研究所は、アルツハイマー型認知症の特徴であるアミロイドβ によるプラーク形成に関与する酵素の働きを THC が阻害すると報告しています。連邦政府は、単一分子としての THC(マリノール)の嘔吐抑制効果と食欲増進効果を認め、スケジュール III の医薬品—乱用の可能性がほとんどない薬品としての分類—としています。それなのに、天然の THC 源としては唯一のものである大麻草自体は、依然として、危険かつ医療効果のないスケジュール I の薬物とされているのです。

#2 「THC は悪いカンナビノイド、CBD は良いカンナビノイド」

これは、麻薬撲滅戦争の軍隊が戦略的後退を行なっているようなものです。つまり、CBD に関しては譲歩し、その一方で THC については引き続き悪者にしようというわけです。頑迷な大麻反対派の人々は、CBD という朗報を逆手に取り、THC含有量の多いカンナビスにますますネガティブなイメージを植え付けて、CBD は良いカンナビノイド、THC は悪いカンナビノイドという構図をでっち上げているのです。なぜなら、CBDTHC と違って摂取してもハイにならないからです。Project CBD は、こうした道徳主義的で『リーファー・マッドネス』を思わせる二分法を断固拒否し、大麻草全草を使った医療大麻を支持します。(参照:論文 A Tale of Two Cannabinoids

#3 「CBD 製品は THCが入っていないものが最も効果的」

THCCBD は、カンナビスに含まれる成分で最強のカップルです。この2つは一緒に使ったときに最も効果を発揮します。これまでの科学的研究で、CBDTHC は相乗的に働き、互いの医療効果を高めるということが確認されています。イギリスの研究者らは、大腸炎の動物モデルにおいて、CBDTHC抗炎症作用を強めるということを示しています。またサンフランシスコにあるカリフォルニア・パシフィック・メディカルセンター(California Pacific Medical Center)の研究者たちは、脳腫瘍と乳がんの細胞株で実験した結果、CBDTHC を組み合わせると、それぞれを単独で使ったときよりも強力な抗腫瘍作用を発揮することを実証しました。また、数多くの臨床研究が、CBDTHC と一緒に使うと、それぞれを単一分子として使ったときよりも神経性の疼痛に対する効果が高いことを示しています。

#4「単一分子の医薬品の方が、全草から抽出した『未精製』の薬よりも優れている」

連邦政府によれば、大麻草に含まれる特定の成分(THCCBD)には医療価値があるけれども大麻草そのものには医療価値がないそうです。連邦政府が単一成分ばかりを盲目的に肯定するのは、大手製医薬会社の製品を特権的に扱おうとする文化的、政治的な偏向を反映しています。単一分子からなる薬は、企業や食品医薬品局(FDA)が好むやり方ではありますが、やり方は他にもありますし、医療大麻から最大の恩恵を受けるためには単一分子製剤が最適とは限りません。大麻草には数百種類もの化合物が含まれており、その中にはさまざまなフラボノイド、芳香成分であるテルペン、そして、THCCBD の他にも多くの微量カンナビノイドが含まれています。これらの成分の一つひとつはそれぞれ異なる治癒効果がありますが、これらが合わさると、科学者が「アントラージュ効果」と呼ぶ包括的な効果が生まれ、その結果、大麻草全体が持つ治療効果は、個々の成分の効果を足し合わせたよりも大きくなるのです。ところが FDA には、植物を薬として認可しようとはしないのです。(参照記事

#5「CBD には精神作用がない」

CBD には陶酔作用はありませんが、CBD に「精神作用がない」と言うのは不正確です。うつ病と診断された患者が CBD を豊富に含む舌下スプレーやティンクチャーを低用量使って久しぶりに気分の良い一日を過ごせたとしたら、CBD に人の気分を変化させる強力な作用があることは明らかです。ですから、「CBDTHC のような精神作用はない」と言う方が、単に CBD には精神作用がないと言うより正確です。CBD は人を陶酔させはしませんが、精神にポジティブな影響を与えるのです。

#6「精神活性作用は本質的に有害事象である」

政治的に正しいとされる、麻薬は撲滅すべきだという考え方によれば、大麻が生むハイな状態は有害な副作用です。大手製薬会社は、大麻の成分によく似た、けれども人をハイにしないで医療効果を発揮する成分の合成に熱心です—ただし、適度な陶酔感が、病気の人にとって、あるいは健康な人にとって、そもそもなぜいけないことなのかは明らかではありません。古代ギリシャ語の euphoria(陶酔感)という言葉には「健康な状態」という意味がありました。大麻草が引き起こす陶酔作用は、不健全な副作用どころか、大麻草が持つ医療的価値に深く関係しているのです。トッド・ミクリヤ(Tod Mikuriya)博士は、「我々は大麻草を、何よりもまず薬であり、多くの薬がそうであるようにたまたま若干の精神作用がある、というふうに見るべきなのであって、たまたまいくつかの治療効果というおまけがついている麻薬である、と考えるべきではない」と言っています。

#7「CBD には鎮静作用がある」

中程度の用量の CBD には、穏やかな活性作用(覚醒作用)があります。ところが、非常に高用量の CBD には二層効果があり、眠気を誘うことがあります。高 CBD の大麻草の花穂に鎮静作用があるとしたら、それはミルセンが豊富に含まれているせいである可能性が高いでしょう。ミルセンというのは、鎮静作用と鎮痛作用を持つテルペンです。本来 CBD には鎮静作用はありませんが、不安感を軽減させることによって睡眠のパターンを改善する可能性があります。

#8「CBD はたくさん摂った方が低用量の場合よりも効果が高い」

CBD アイソレートは、全草から抽出した高 CBD オイルと比べ、効果を発揮するためにより高い用量を必要とします。これは、単一分子 CBD の方が CBD を豊富に含む大麻草よりも治療法として優れている、ということを意味しません。高 CBD の大麻草は、CBD アイソレートよりも治療域が広いのです。臨床医や患者の経験によれば、CBDTHC、またそれ以外の大麻成分を組み合わせた場合、低用量—少ないときには CBD の量にして 2.5ミリグラム、または THC 2.5ミリグラム、あるいはその両方—で効果を発揮しますが、中にはそれよりずっと高用量の CBD オイルを摂らないと満足できる効果を得られない人もいます。留意すべきは、CBDTHC、あるいは大麻草一般に言えることですが、二相性作用があるということです。つまり、低用量と高用量の場合では反対の作用を引き起こす場合があるのです。あまりにも高用量の CBD は、中程度の用量よりも治療効果が弱いことがあります。

#9「CBD は人間の体内で THC に変換される」

経口摂取した CBD は認容性の高い化合物です。ところが、CBD が胃の中で変換されてハイを引き起こす THC になる、という誤った報告が、CBD に有害な副作用があるのでは、という懸念を生みました。そんなことはありません(その証拠はこちらをお読みください)。経口摂取された CBD は、仮にそれが 600ミリグラムを超える高用量であったとしても、THC のような精神作用を引き起こさないということは、多数の臨床試験の結果が示しています。それどころか、十分な量の CBD を摂ることで、THC によるハイを軽減させる、あるいは打ち消すことができるのです。この懸念について調査を行った世界保健機関(WHO)は、2017年の報告書の中で「胃液を模した液体は、胃の中の生理的状態を正確に再現してはいないし、CBD を治療に使っている患者において CBD が自然に Δ9THC に変換されたという事例は見られない」と述べ、CBD の無実を証明しています。

#10「CBD はアメリカでは規制物質から除外され、完全に合法になった」

食品医薬品局(FDA)は、CBD を医薬品とみなしています。そして、すでにエピディオレックスという CBD 製品を二種類の小児てんかんの治療薬として承認しているために、ヘンプ由来の CBD を健康補助食品として販売するのは違法であると主張しています。一方、今でも連邦法では禁止されている大麻草(THC含有量が0.3%を超える)由来の CBD は、DEA 管轄のままです。『リーファー・マッドネス』に描かれた差別主義に根ざし、有色人種にとって不公平な形で施行される大麻禁止法は、あたかも南部連合支持者の銅像が今もなお立っているようなもので、頑迷な偏見と社会的不公正の象徴なのです。

#11「大麻草は違法のままで、CBD だけ合法化すれば、すべての患者のニーズに応えられる」

アメリカでは 15州で CBD だけが合法です。(正確には、「微量のTHC」または「THC を含まない」製品だけが合法、と言う方が正しいでしょう。)また 33 の州で、CBD に限らない医療大麻が、何らかの形で合法化されています。高 CBD 製品の原料を制限したり CBD を使える疾患を指定したりしている州もあれば、そうでない州もあります。ただし、高 CBDTHC を含まない薬が誰にでも効くわけではありません。てんかんの子どもを持つ親たちは、THC または THCA(生のままで加熱していない THC)を加えると発作の制御に役立つということを知っています。てんかん患者の一部、そしてそれ以外にも多くの人にとって、THC 優位の製品の方が効果があるのです。ですから、ほとんどの患者にとっては、CBD だけを合法とする法律は役に立ちません。THC をほとんど含まないものだけでなく、大麻草全草から抽出されたフルスペクトラムの製品を患者が入手できるようにすべきです。それが許されないというのは国として恥ずかしいことです。医療大麻の効果は人それぞれで、すべての人に効く化合物も、製品も、品種もありません。

#12「CBDCBD であって、原料が何であろうと同じである」

樹脂の量が少ない産業用ヘンプの品種から CBD オイルを作ることはできますが、繊維用に栽培されるヘンプは CBD の原料として最適であるとは言えません。通常、産業用ヘンプには、樹脂を豊富に含む高 CBD の大麻の花穂と比べてずっと少量の CBD しか含まれていません。ですから、少量の CBD を抽出するのに大量の産業用ヘンプが必要になり、それによって製品に汚染物質が含まれる危険があります。なぜならヘンプは土壌から有毒物を吸い上げる「バイオアキュミュレーター」だからです。ただし現在、乾燥重量で THC の含有量が 0.3%以下であること、という産業用ヘンプの法的な基準を満たし、かつ CBD の含有量が 10%を超える品種の開発に育種家たちが力を注いでおり、その結果、CBD の原材料は何がいいか、という議論は急速にその意味を失いつつあります。産業用ヘンプから抽出され、精製された「純粋な」CBD や、研究所で合成された CBD には、医療効果のあるテルペンの他、CBDTHC と相乗的に作用して治療効果を高めるさまざまな植物性化合物が欠けています。(参照記事


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