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この記事は、CannMed [訳注:毎年アメリカで開かれる医療大麻の大規模なカンファレンス] のポッドキャストで、ホストの Ben Amirault がボニ・ゴールドスタイン博士に行なったインタビューの書き起こしです。ゴールドスタイン博士は、アメリカでも最も尊敬され、医療大麻による治療の経験が豊富な医師の一人であり、これまでに何千人もの患者を医療大麻で治療しています。博士は Canna-Centers Wellness & Education のディレクターであり、Cannformatics の医療アドバイザーでもあります。『Cannabis is Medicine: How Medical Cannabis and CBD are Healing Everything from Anxiety to Chronic Pain』という著書もあります。CannMed 2023(5月15-17日)では、医師を対象とした特別実習の指導のほか、一般講演として CBG やその他のマイナーカンナビノイドについて話すことになっています。

CannMed: 今月の CannMed で話される予定の、いわゆるマイナーカンナビノイドの一つについて伺いたいんですが。博士は、カンナビゲロール(CBG)は一番お気に入りのカンナビノイドの一つだとおっしゃいました。それはなぜですか?

ゴールドスタイン博士:CBG は、THC の作用の多くと CBD の作用の多くを発揮するようなんです——しかも、もっと上手にね。言ってみれば、THC と CBD の橋渡し役のようなものです。CBG には陶酔作用がなく、日常生活に支障をきたすようなことはありませんし、CBD よりも低用量で効果があるようです。そして、多くの人が大麻を使う理由である、炎症、疼痛、不安、睡眠障害、うつ病、がんに効果があるように見えます。つまり必要要件をすべて満たしているわけです——特に、ハイになりたくない人、非常に高用量の CBD を買い続けることが経済的に難しい人にとってはね。

CannMed: THC と CBD の橋渡し役というのは面白いですね。それは CBG が他の植物性カンナビノイドの前駆体だからでしょうか?

ゴールドスタイン博士:CBG の親化合物であるカンナビゲロール酸(CBGA)は、未成熟の大麻草の花穂に含まれる化合物で、すべてのカンナビノイドの母として知られています。そして、遺伝的特徴やどんな酵素と出会うかによって、CBGA は CBDA や THCA に変化し、加熱されるとそれが CBD と THC に変化します。CBGA についての研究はまだあまり行われていません。非常に研究が遅れていると言えるでしょう。でもいずれ、CBGA に非常に興味深い抗炎症作用や抗がん作用があることが判明するのではないかと思います。今はまだわかっていませんけどね。でも、少なくとも CBG は研究されています。私はしょっちゅう科学文献を読んでいますが、今年になってイスラエルから、CBG が多発性硬化症に役立つかもしれないという研究結果が発表されたばかりです。また、痛みや炎症に対する CBG の有効性について、その作用機序を調べた研究もあります。このように、CBG には多くの関心が集まっているのでワクワクしています。

CannMed: CBG が最も有効なのはどんな病気だと思いますか? 博士が一番興味がおありなのは?

ゴールドスタイン博士:CBG は、炎症、疼痛、不安神経症やうつ病といった気分障害の治療にとても有望だと思います。イーサン・ルッソ博士をはじめとする研究者が最近 CBG ユーザーにアンケート調査を行なったんですが、約 70% の人が、CBG は標準薬より効くと答えています。不安、疼痛、うつ病、不眠障害に対しての評価が高かったですね。直接的な催眠効果があるかどうかはわかりませんが、不安や痛みが軽減されれば入眠しやすくなりますし、よく眠れるようになる可能性は高いでしょう。そういう事例報告が、前臨床研究によって裏付けられているということは注目に値します。

CBG は、炎症、疼痛、不安神経症やうつ病といった気分障害の治療にとても有望だと思います。

CannMed: アンケート調査とおっしゃいましたが、それは CBG を単独で摂った場合ですか、それとも他のカンナビノイドとの併用ですか?

ゴールドスタイン博士:それを明らかにするのもアンケート調査の目的で、回答したのはヘンプ製品として販売されている植物性 CBG を摂っている人たちだと思います。市場にあるほとんどの CBG 製品には THC はほとんど含まれていませんし、ヘンプが原料なので、ヘンプ製品として売られているんです。乾燥大麻も、局所薬も見たことがあります。局所薬には抗菌作用と抗乾癬作用があります。乾癬は、関節に痛みがあるだけでなく、皮膚に厚くて赤い斑点や鱗屑ができることで知られる、とても辛い病気です。CBG はその乾癬に効くことがわかっています。皮膚細胞そのものに働いて、鱗状の斑点ができるのを阻害するんです。カンナビノイドがどれほど幅広い疾患に使えるかわかるでしょう? よく、「カンナビノイドはどうしてこんなにたくさんのことができるのかと訊かれますが、カンナビノイドは脳や身体に複数の作用標的を持っていて、それがカンナビノイドのすごいところなんです。医薬品は、「この薬はこの特定標的に作用する」というモデルであることを思い出してください。一方カンナビノイドは「節操がない」と言われる通り、さまざまな標的に作用するのです。

CannMed: CBG の作用標的は他の植物性カンナビノイドとどのように異なるんですか? 同じ受容体に、同じような機序で作用するんでしょうか?

ゴールドスタイン博士:たとえば THC や CBD と重なる作用もありますが、逆の反応もあります。CBD と CBG は、ある特定のセロトニン受容体——5HT1A と言うんですが——においては、CBD はそれに結合し、CBG は阻害するという、逆の作用を起こします。どちらもその受容体に作用するのですが、作用の仕方が違うわけです。CBGはまた、(細胞核の表面にある)PPAR 受容体と呼ばれるものに結合するという点で CBD と重なります。そして、CBD と CBG はどちらもTRP(イオン)チャンネルに作用して、炎症や痛みの緩和に役立ちます。

CBG は、痛みの知覚や炎症を媒介する α-アドレナリン受容体に働きかけることがわかっている唯一のカンナビノイドです。たとえば ADHD や問題行動のための医薬品には、この受容体をターゲットにしたものがあります。行動や他のタイプの問題を抱えた子どもたちを私が治療する際には、必ず CBG の使用を検討します。自閉症の患者さんにも使ったことがあります。ご家族からは、お子さんが落ち着き、集中力が増し、言葉を発しない自閉症のお子さんの発話が改善されたという報告もあります。ただし、中には CBG を使うと子どもがあまりにもハイテンションになると言う親御さんもいます。それは用量の問題かもしれません。でも、試さない理由はないでしょう? 安全であることは分かっていますし、医師の監督下で行うのですから。私たちは、何が起こっているかをコントロールできるように、ごく低用量から始めます。もちろん、しっかり監視しながらです。親も監視しているし、私も見ています。とにかく害がないことを確認したいのです。これまでのところ、CBG を試した子どもの約60パーセントが何らかの効果を得ていると思います。

CannMed: ADHD の話題が出て嬉しいです。実を言うと、うちの息子が ADHD と診断されたんですよ。CBG が効くかもしれないと聞いて驚きました。

ゴールドスタイン博士:CBG が子どもにとって絶対に有益である、または有害である、とはっきり言えるような臨床試験の結果はありません。でも、もうすぐそういう臨床試験が始まる可能性があって、実現すれば素晴らしいと思います。カリフォルニアにある私の診療所では、私は親御さんと一緒に色々なカンナビノイドを試してどれが役に立つかを確認させてもらえます。私たちはそれを、しっかりしたシステムに沿って行います。著書の中でも触れていますが、私たちには「Rule it in or rule it out(試してみて使うかどうかを決める)」という言葉があります。低用量から始めて、段階的に増やしていくんです。一度に1種類のカンナビノイドに焦点を当て、効果があるかどうかを確認します。それと、効果が見られるのは、その子が CBD を併用しているからで、その組み合わせがうまくいっている場合もあることも忘れてはなりません。別のカンナビノイドを追加して効果が高まったとしても、それはそのカンナビノイドのおかげなのか、それともすでに他のカンナビノイドを摂っている場合は、その2つの組み合わせの効果なのかはわからないんです。色々と試行錯誤が必要で、答えが見つかるには時間がかかります。私は、初診のご家族には必ず、「これから長いお付き合いになりますよ」とお伝えしています。どれか一つ選んでそれがすぐにうまくいくわけではありません。運良くうまくいくこともあるかもしれません。そういう場合もありますが、多くはありません。

CannMed: もうひとつ印象的だったのは、CBG が体の機能を高めるという考え方です。それについて、少しお話いただけないでしょうか。

ゴールドスタイン博士:CBD と CBG を含む多くのカンナビノイドは、人間の内因性カンナビノイドの分解を遅らせます。内因性カンナビノイドというのは、私たちの体内にある大麻のような化合物で、通常、病気や外傷、ある種の感染症など、私たちにストレスを与えるものに反応して、体が必要に応じて放出するものです。内因性カンナビノイドは、私たちの細胞が常に送受信しているさまざまなメッセージのバランスを保つために体内で産生されるんです。エンドカンナビノイド・システムは生理的な調整役であり、あなたがバランスを保つのを助けているのです。私たちは、内因性カンナビノイドの分解を遅らせてその作用を長引かせる植物性カンナビノイドを使って、私たちがもともと持っているエンドカンナビノイド・システムの働きを高めることができます。これは抗うつ剤が、セロトニンが体内に留まる時間を長くすることで効果を発揮するのと似ています。

私たちは、植物性カンナビノイドを使って、私たちがもともと持っているエンドカンナビノイド・システムの働きを高めることができます。

CannMed: 間違っていたら教えていただきたいのですが、運動をすることも内因性カンナビノイドの産生を増やす方法なんですか?

ゴールドスタイン博士: ええ。

CannMed: CBD または CBG を体外から補完することは、アナンダミドを体内に留まらせて、私たちが生来持っている内因性カンナビノイドがさらに有効に働くようにするのに効果的だということでしょうか?

ゴールドスタイン博士: 理論的にはそう考えられますね。ただ、そこに直接的な相関関係が、つまり、カンナビノイドを1回摂ったらその分アナンダミドが増えるというふうな関係があるかどうかはわかりません。でも、カンナビノイドが抗炎症作用、抗酸化作用、神経保護作用を持つということは科学文献でも裏付けられていると思います。ただ、1回のカンナビノイド摂取で効果が出るわけではありません。ウェルネスのためのレジメンだと考えるとわかりやすいと思います——もちろんカンナビノイドも含まれますが、それ以外にも、健康的な食事、運動、質の良い睡眠、ストレスのコントロールなど、エンドカンナビノイド・システムを強化するために行うべきことは他にもあります。

CannMed: CBG が他のカンナビノイドの効果をどのようにして高めるのか、あるいは、CBG との組み合わせが有用な場面についてお話し願えますか?

ゴールドスタイン博士:CBDとCBGの組み合わせで神経炎症が減少したことを示す 2019年の動物実験があります。その研究は具体的には、認知症を伴う神経変性疾患、いわゆるルー・ゲーリッグ病と呼ばれる ALS について調べていました。そしてこの前臨床研究では、CBD と CBG が一緒に働くことで、神経炎症からの保護作用が高まることが示されたのです。これは、カンナビノイドとテルペンの組み合わせが効果を高め、良い結果をもたらすという「アントラージュ効果」の概念とも関係しています。また、これとは別の最近の研究では、特定の脳腫瘍細胞を対象とした試験管での実験で、THC や CBD に加えて CBG を使うと抗がん作用を持つことが示されました。がんが進行し、予後が非常に悪い患者が私のところに来たとき、私は何年も前から、治療に CBG を加えています。私には、そうすることに何の害もないように思えます。抗がん作用を発揮するために使われる高用量の THC がときにそうであるように、日常生活に支障が出ることもありませんからね。

CannMed: その他に、CBG がツールとして適切、あるいは、すでに医療大麻を使っていて適切な結果が得られておらず、CBG を併用するとよいのではないかという状況はありますか。

ゴールドスタイン博士:不安や痛み、炎症を治療しようとしていて、現在最も一般的に使われている THC や CBD、あるいはその両方を使っても良い結果が得られない場合、試しに CBG を加えてみる価値はあると思います。カンナビノイドを組み合わせると、どちらか、あるいは両方の用量を少なくしても、その組み合わせのアントラージュ効果によって効果が高まることがあるということも覚えておいてください。というのは、カンナビノイドの治療量以下の量、つまり臨床的に何も期待できない量のカンナビノイドを複数組み合わせると、効果が高まるという研究結果があるからです。多くの人にとって、とても高い用量を摂るのは金銭的に無理があります。そして、ごく少量のカンナビノイドを2つ組み合わせた方が効果的なこともあるのです。

どんな症状に CBG を勧めるかと言えば、不安、痛み、乾癬、自閉症の患者さんやがんの患者さんにも使っています。CBG は安全ですし、もし誰かが苦しんでいて、従来の薬が役に立たなかったり、ある程度しか役に立たなかったりする場合、CBG やその他のカンナビノイドを試さない理由はないと思いますね——特に、それが医師の指導の下で行われ、臨床試験が行われるべき説得力のある前臨床研究の結果があるのであれば。

行動や他のタイプの問題を抱えた子どもたちを私が治療する際には、必ず CBG の使用を検討します。

CannMed: CBG の忍容性は良好なようですが、副作用を見たことはありますか?

ゴールドスタイン博士:私が診ている子どもたちの中の特殊な例を除けば、副作用はあまり見たことがありません。一部の自閉症の子どもたちには刺激が強すぎて、行動が極度におかしくなってしまうんです。だから、治療を始める前に家族にこのことを警告します。用量の問題かもしれません。投与量は非常に重要です。低用量だと刺激過剰になることがあって、そういうときは高用量で試してみることもあります。ただしこれはある特定の集団に限った話です。CBG を服用する大人では、副作用はあまり見たことがありませんしそういう話も聞きません。患者さんによっては、CBG はちょっと目が覚める、つまり気分が上がると言う人もいます。ですから、就寝の直前に CBG を摂取するのはやめたほうがいいでしょう。自分がどう反応するかを把握し、目が覚めるのであれば、夜には使用しないようにすればいいのです。その一方で、CBG は睡眠を助けてくれると言う人もいます。鎮静作用があり、不安が軽減するから睡眠に役立つのかもしれませんね。医師から抗うつ剤やオピオイドを処方されたとき、それを飲んだことがない人がどう反応するかは誰にもわからない。CBG も同じことです。新しい薬を飲んだとき、あなたがたまたまあまり良く反応しない人であるという可能性は常にあります。あるいは、それがものすごく効く人かもしれません。

CannMed: CBG は、まだあまり知られていないカンナビノイドのひとつです。CBG を手に入れるのは簡単ですか?

ゴールドスタイン博士:私が YouTube に上げた動画の中に、CBG 製品をいくつか並べて見せているスライドがあります。ベポライザーを使いたければバッズを買うこともできますし、さっき言ったように局所薬もあります。大部分はティンクチャー製品で、これは抽出エキスが瓶に入ったもので、スポイトやシリンジで用量を計って舌下に垂らします。私は特定の会社のものを勧めるということはしませんが、ちょっとグーグル検索すれば CBG は見つかりますよ。そしてもちろん、製品を買う前には必ず、必ず分析証明書(COA)を確認して、その製品に何が入っているのか確認することです。COA がなかったり、透明性に欠けていたりしたら、別の製品を検討しましょう。

CannMed: 実は私たちのポッドキャストに検査ラボの人を呼んだことがあるんですが、中には COA を偽造する企業もあるそうですね。本物の COA と、綿密さに欠けるものを見分けるコツを教えてくれましたよ。さて、今日は本当にありがとうございました。CannMed 2023 で他のカンナビノイドについてのお話を伺うのを楽しみにしています。CannMed 2023 では、ダスティン・スラック、ケヴィン・スペルマン、エロイーズ・ティーセンと一緒に医師向けの特別実習もされるんですよね。実習では何が期待できるのかちょっと教えてください。また博士はなぜ、こうしたイベントを通じて医師や一般の人に医療大麻について教育することが大切だとお考えなのか伺えますか?

ゴールドスタイン博士:これが重要なのは、大麻を使った治療に焦点を当てた医師向けの研修プログラムも研修医制度も存在しないからです。参加した人からは、実際に医療大麻による治療を実践し、大麻医療の機微を探求している臨床医から直接に話を聞けるのは非常に有益だというフィードバックをもらっています。実習はまる1日、びっしり勉強してもらいます。まず、エンドカンナビノイド・システムの生理学、カンナビノイドや植物に含まれるその他の成分の生理学からスタートします。優秀な植物学者であり、ハーバリストとして長年の経験を持つ、ケビン・スペルマン博士も教師の一人です。彼の講義は素晴らしいのよ。特に、医学博士としてアロパシーの世界から来た私にとって、植物療法を理解することは大きな変化でした。彼の存在は、アロパシーの世界から来た私たちにとって、そのギャップを埋めるのにとても役立っています。実習ではまた、大麻の臨床応用、高齢の患者さんの慢性疼痛の治療の際に気をつけるべきことについても学びます。私は、私の専門である小児科の話をします。そして、実践的なパネルディスカッションでは、症例報告や、患者さんが正しい薬を選ぶためのアドバイスなどをします。知識を深めたい人にとって、たくさんの情報が得られる、本当に充実した1日です。これを教えるのが私はとても楽しいの。同じ志を持った人たちと一緒にすごすのは素晴らしいことですし、他の人たちの経験を聞けるのも素晴らしいことです。いつも、CannMed に参加する同業者や会場の参加者、そして他の講演者からは、必ず学ぶものがあります。


ゴールドスタイン博士についてより詳しく知りたい人は、博士の YouTube チャンネルをどうぞ。Instagram に投稿することもあり、LinkedIn にもアカウントがあります。ポッドキャストの全編を聞きたい人はこちらから



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