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ここ数年の間に、大麻由来の「ウェルネス」製品——各州の医療大麻・嗜好大麻制度下の製品、あるいは全国的に合法なヘンプ由来 CBD 製品でもかまいませんが——に注目したことのある人なら誰でも、カンナビノイド入りの局所薬がちょっとした疼痛の緩和に効くとして販売されているのに気づいていると思います。これらの製品は使いやすく、精神作用もないため、高齢者、大麻由来製品を使うのが心配な人、初めての人にとっては、より幅広い大麻由来製品の世界への、安全な入り口になる可能性があります。

カンナビノイド入りの軟膏、乳液その他の製品が効くのは、カンナビノイド受容体 CB1 と CB2、さらにTRPチャネル、PPAR(核内受容体)、セロトニン受容体を含む二次標的が、皮膚細胞に豊富に発現しているからです 1, 2。外用薬として塗布されたカンナビノイドはこれらの受容体に直接結合し、その部位の炎症や痛みを軽減させるのです。

適切に調合された大麻成分入り局所薬の効果はそれだけではありません。もう何十年も前から、ニキビ、潰瘍、皮膚炎といった皮膚の病気に対するカンナビノイドの治療効果についての研究が行われています。他の部位と同様、皮膚においても、エンドカンナビノイド・システムは広範に働いて、バランス、機能、免疫反応を維持します。これには、内因性カンナビノイドであるアナンダミドと 2-AG の生成も含まれます 3。また、局所薬として塗布するだけでなく、内服されたカンナビノイドも、症状が広範囲にわたるときは特に奏効する可能性があります。

皮膚疾患は、大麻の適応症としてはあまり知られていないものの一つであり、通常の痛み止め軟膏よりは注意して使う必要がありますが、近年発表された多くの論文が、それが大いに研究の意義がある分野であることを示唆しています。

カンナビノイドと炎症性皮膚疾患

まず、最近『Pharmaceuticals』誌に掲載された論文を見てみましょう 4。これは、ニキビ 5、湿疹、皮膚炎、乾癬といった炎症性皮膚疾患に対する大麻由来製剤の効果についてこれまでに行われた研究を検証するものです。著者はポルトガルの研究者で、2003年から 2021年の間に発表された 29 の論文を検証しました。うち 13 は人間を対象としたもの、残りは細胞モデルおよび動物モデルを対象としていました。いずれの臨床研究でも、カンナビノイドの経口摂取は行われませんでしたが、一つだけ、ヘンプシードオイルの摂取量が多くなるとアトピー性皮膚炎の症状が軽減されることを示すものがありました。オリーブオイルではこの傾向は見られませんでした。この論文の著者はその理由を、ヘンプシードオイルには内因性カンナビノイドの前駆体である多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれていることであるとしています。

それ以外の臨床研究で局所薬として使われた活性成分は多岐にわたります——CBDCBGTHC、ヘンプシードオイル、内因性カンナビノイド・アナンダミド、カンナビノイド様内因性化合物・PEA(パルミトイルエタノールアミド)、そして研究用の合成カンナビノイド HU210 です。

これらの研究のほとんどが治療に有効という結果を示していたこと、またそれ以外の基礎研究の結果から、レビュー論文の著者らは、カンナビノイド入りの局所薬は忍容性が高いばかりでなく、特に乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎の治療に有望であると結論しています。

「今回検証した論文は、カンナビノイドおよびカンナビノイド受容体モジュレーターが、その抗増殖性作用、免疫変調作用、抗炎症作用によって、複数の炎症性皮膚疾患に対する治療効果を発揮することを示唆している」と論文は結論しています。「ただし、こうした可能性をよりよく理解するためには、皮膚におけるカンナビノイド・システムについての知識を拡大させる必要がある」とそこには書かれています。

皮膚のエンドカンナビノイド・システム

これとは別の、2022年 12月に『Cells』誌に掲載されたレビュー論文 6 は、ドイツのロストック大学の研究チームによるもので、カンナビノイドによる皮膚疾患の治療の可能性をさらに広い視点で検証しています。論文はまず、エンドカンナビノイド・システムがさまざまな皮膚の機能と生成プロセスにおいて果たす役割を概覧するところから始まります。

この一覧を眺めるだけでも、人体のマスターレギュレーターであるエンドカンナビノイド・システムだけでなく、人体最大の臓器である皮膚そのものの素晴らしさがよりよく理解できると思います。著者らがまとめた、ECS が媒介する皮膚の機能には次のようなものが含まれます。

  • メラニン形成(皮膚を紫外線や酸化ストレスから護るために欠かせないメラニンの生成と分配)
  • 創傷治癒
  • 皮膚バリア機能(水分の喪失を防ぐ「内側から」の防護と、病原体、化学物質、アレルゲンなど外界からの脅威から身体を護る「外側から」の防護の両方)
  • 皮脂腺細胞の生態(多すぎるとニキビの原因となる、皮脂と呼ばれる油性物質を産生する皮脂腺の機能)
  • 毛嚢の生態と毛髪の成長
  • 露出した被覆組織に日光が与える影響(たとえば、CBD は紫外線の害を軽減させる可能性があると著者らは示唆している)
  • 皮膚痛覚、または皮膚内における痛みの伝達と知覚
  • 角質化(皮膚の下の細胞が、毛髪、爪、皮膚の表皮の生成を助けるタンパク質、ケラチンに変換されること)
  • 皮膚の老化

可能性は無限?

次に著者らは、一般的なものからあまり知られていないものまで、多数の皮膚疾患の治療にカンナビノイドが奏効するという臨床研究および基礎研究からのエビデンスを検証しました。そうした疾患の中には、アレルギー性の接触皮膚炎、ケラチンの異常、傷痕とケロイド、表皮水疱症、壊疽性膿皮症、ニキビ、急性炎症、男性型脱毛症、湿疹、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、汗腺膿瘍、透析瘙痒症、帯状疱疹後神経痛、掻痒症、乾癬、全身性硬化症、じんましん、静脈性下腿潰瘍などが含まれます。

非常に包括的な一覧である、と言えば十分でしょう。検証の結果、彼らはこう結論しています——「要約すれば、カンナビノイドは、局所薬としても飲み薬としても、皮膚疾患の治療に有望である」

だがこれで終わりではない、と著者らは続け、「これまで患者を対象に研究されたもの以外にも、カンナビノイドが奏効する可能性がある皮膚疾患がいくつかあることから、カンナビノイドの持つ可能性がすべて明らかになったとは到底言えず、今後、さらなる疾患にカンナビノイドによる治療が試されることだろう」と述べています。

さらなるエビデンス

実際に、新しすぎて『Cells』誌に掲載されたレビュー論文にも引用されなかった2つの論文が、レビュー論文の結論をさらに裏付けています。一つは『Tropical Medicine and Infectious Disease』の 2022年 11月号に掲載されたもの 7 で、実験室からのエビデンスにもとづき、THC と CBD はともに「皮膚リーシュマニア症(動物を媒介とし、皮膚病変を引き起こす寄生虫性疾患)の治療薬として使われる、あるいは他の療法と併用できる可能性がある」と述べています。この疾患は、90か国近くに患者がいますが、中でもこの論文の著者が済むモロッコで蔓延しています。

さらに、『Advanced Skin and Wound Care』に 2023年 1月に掲載された論文 8 によれば、1ヶ月から2ヶ月間にわたって観察した 45名の指潰瘍患者のうち、無作為に選ばれて CBD 入りの局所薬を使った人たちは、CBD の入っていない局所薬を使った対照群と比較して、痛みが軽減し、健康状態に関するアンケートのスコアが改善し、睡眠が改善しています。


Nate Seltenrich は、サンフランシスコのベイエリアに住む科学ジャーナリスト。環境問題、神経科学、薬理学を含む幅広いテーマについて執筆している。

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脚注

  1. Ständer, Sonja et al. “Distribution of cannabinoid receptor 1 (CB1) and 2 (CB2) on sensory nerve fibers and adnexal structures in human skin.” Journal of dermatological science vol. 38,3 (2005): 177-88. doi:10.1016/j.jdermsci.2005.01.007
  2. Martins, Ana M et al. “Cannabis-Based Products for the Treatment of Skin Inflammatory Diseases: A Timely Review.” Pharmaceuticals (Basel, Switzerland) vol. 15,2 210. 9 Feb. 2022, doi:10.3390/ph15020210
  3. Bíró, Tamás et al. “The endocannabinoid system of the skin in health and disease: novel perspectives and therapeutic opportunities.” Trends in pharmacological sciences vol. 30,8 (2009): 411-20. doi:10.1016/j.tips.2009.05.004
  4. Martins, Ana M et al. “Cannabis-Based Products for the Treatment of Skin Inflammatory Diseases: A Timely Review.” Pharmaceuticals (Basel, Switzerland) vol. 15,2 210. 9 Feb. 2022, doi:10.3390/ph15020210
  5. Peyravian, Nadia et al. “The Anti-Inflammatory Effects of Cannabidiol (CBD) on Acne.” Journal of inflammation research vol. 15 2795-2801. 3 May. 2022, doi:10.2147/JIR.S355489
  6. Ramer, Robert, and Burkhard Hinz. “Cannabinoid Compounds as a Pharmacotherapeutic Option for the Treatment of Non-Cancer Skin Diseases.” Cells vol. 11,24 4102. 16 Dec. 2022, doi:10.3390/cells11244102
  7. Assouab, Aicha et al. “Inhibiting Human and Leishmania Arginases Using Cannabis sativa as a Potential Therapy for Cutaneous Leishmaniasis: A Molecular Docking Study.” Tropical medicine and infectious disease vol. 7,12 400. 26 Nov. 2022, doi:10.3390/tropicalmed7120400
  8. Spinella, Amelia et al. “Topical Cannabidiol in the Treatment of Digital Ulcers in Patients with Scleroderma: Comparative Analysis and Literature Review.” Advances in skin & wound care vol. 36,1 (2023): 18-23. doi:10.1097/01.ASW.0000891856.08360.61

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