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抄訳 (Cannabis and Cannabinoid Research) 2016年

自覚症状として痛みがある一般的な疾患の中には、客観的な症状に欠け、今も有効な治療法が存在しないものが多数あります。その代表的なものが、偏頭痛、線維筋痛症、そして過敏性腸症候群です。これらは一人の患者が複数罹患している場合があり、患者は、それが心因性のものであるというレッテルを貼られ、次から次へと処方される薬物はどれもあまり効果がない、という苦しい経験に耐えています。痛覚過敏および中枢性感作といった共通の症状をともなうこれらの疾患に病態生理学的な共通点があるという可能性は、その原因にエンド(内因性)カンナビノイドの欠乏があるという仮説を示唆しています。

この仮説の根底にあるのは、人にはそれぞれ、内因性カンナビノイドであるアナンダミド(アラキドノイルエタノールアミド)と 2-AG(2-アラキドノイルグリセロール)の量、それらの産生、代謝、カンナビノイド受容体の数と状態などを反映した「エンドカンナビノイド・トーン」というものがある、という考え方です。それが先天的なものであれ後天的なものであれ、特定の条件が揃うとエンドカンナビノイド・トーンに不備が生じ、病態生理学的な異常が生じます。2001年に初めて提唱されて以来、この仮説は、遺伝子重複と併存疾患、エンドカンナビノイド・システム(ECS)によって調節され得る症状、そして、外因性カンナビノイドを用いた治療が往々にして症状の緩和をもたらしたという事実に基づいていますが、客観的な証拠と正式な臨床試験のデータは欠落していました。けれども現在では、偏頭痛患者の脳脊髄液中のアナンダミドの量に統計的に有意な差があることがわかっていますし、最先端の画像技術を使った研究では、PTSD患者で ECS の機能が低下していることが示されています。それ以外にも、この仮説をより堅固なものにする結果が得られていますし、臨床データもやはり、疼痛の緩和、睡眠の改善、その他大麻による治療の効果と、生活習慣による補完的な ECS への影響のエビデンスを提供しています。

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