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脊椎のある動物(脊索動物)はみな、エンドカンナビノイド・システムを持っています。脊索動物には、両生類、爬虫類、鳥類、魚類、そして哺乳動物が含まれ、家で飼われるペットもその一部です。ペットの飼い主の多くは、愛するペットを家族同然に扱います。犬や猫が病気に罹り、従来の治療が効かないとき、人々は何か別の方法を模索します。自然療法的な考え方をすると、動物に大麻を与えるのは、植物療法の一つとして理に適っているように思えます。

CBD、あるいは大麻全体についても言えますが、犬や猫への使用についてはほとんど研究されていません。大麻製剤は動物に使っても安全なのでしょうか? 大麻はペットに対して、人間に対するのと同じように働くのでしょうか? 飼い主の多くは、ペットの健康をサポートするものを求めていますが、医療大麻市場でも、あるいはヘンプ由来 CBD 製品のグレーな市場でも、ペットにフォーカスしたさまざまな CBD 製品に関しては、品質管理がおざなりになっています。また、ペットのための医療大麻について、専門家としてアドバイスのできるだけの知識があり、信頼できる獣医は多くありません。

飼い主が、ペットに使う医療大麻についてよりよく知ることができるように、Project CBD のサラ・ルッソが、カリフォルニア州オークランドで開業している、統合医療を採り入れた獣医、ゲリー・リヒター(Gary Richter)博士にお話を伺いました。リヒター博士は大麻を、動物に対するホリスティックな医療の一部であると考えています。大麻がスケジュール I の違法物質であるがために、獣医は患者に大麻使用の推薦状を書くことができませんし、どこで医療大麻を買えばよいか推薦することもできません。でも、ペットに CBD や医療大麻を使うことのベネフィットについて話すことはできるのです。

Project CBD博士のお仕事についてお話しいただけますか? 博士の経験上、ペットのどんな病気に医療大麻が効くのでしょうか?

リヒター博士:私は診察に、西欧医学、補完医療、そして代替医療を採り入れています。その中には指圧、カイロプラティック、漢方薬や西洋の薬草、栄養サプリメントその他が含まれます。大麻が動物の役に立つ病気の多くは人間と共通しています — 発作の抑制、消化器疾患、不安に関連した問題などです。がんの治療にも効果が見られます。

Project CBD: 犬や猫を対象にした大麻の研究が少ないのはなぜでしょう? 動物を対象としたカンナビノイド医学で、もっと研究が進めばいいと思われるのはどんな分野ですか?

リヒター博士:結局のところ、治療を目的とした研究が行われないのは、大麻が連邦法では違法であり、研究の資金が確保できないからだと思います。基本的に、医学の研究に金を出すのは製薬会社ですからね。合法的に研究ができるようになり、動物の薬で利益が出るようになれば研究は行われるようになりますよ。動物に対する大麻の使用全般、特に、医療大麻が最も効果的であるように思われる疾患に焦点を当てた研究が進めばいいと思います — 具体的には、消化器疾患、疼痛、そして炎症です。これらの疾患については、大麻は多くのペットに劇的な効果を見せています。がんについての研究はもっとずっと時間のかかり、実現が難しいでしょうね。

Project CBD「大麻が動物の治療に使っても安全で、効果があるということを示す科学的なデータが十分でない」と言う獣医には、博士は何と答えますか?

リヒター博士:科学的なデータがもっとあれば理想的です。でも医療大麻の効果に関しては、すでに膨大な数の症例報告や事例証拠があります。獣医学の分野では、獣医は通常、薬の適応外使用に問題を感じることはありません — つまり、犬や猫に対して使っていいと明確に承認されていない疾患に使うことです。ところが、大麻のことを口にした途端、人間に対して効果があるというエビデンスは山ほどあるのに、彼らは突然「そんなことはしてはいけない、犬に関しては研究されていないんだから!」と言うんですよ。不誠実ですよね。

Project CBD人間と比べた場合、犬や猫のエンドカンナビノイド・システムには違いがあるのでしょうか?

リヒター博士:大局的に見れば非常に似ています。一つ大きな違いと言えば、犬の脳には、他のほとんどの動物と比較して、カンナビノイド受容体がより高密度で存在しているらしいということです。これが重要なのは、犬の場合 THC の摂りすぎが起こりやすく、一時的に、ある程度の神経障害が起こる可能性があるからです。これは静止時運動失調と呼ばれる現象です。それを除いては、医療大麻が効果的に使用されれば、動物のエンドカンナビノイド・システムは人間と同じように働きます。

Project CBD: CBDTHC を組み合わせることはペットにとって役に立ちますか? 役に立つとしたら、どんな割合を勧めますか?

リヒター博士:それは疾患にもよりますし、動物の個体差もあります。大麻を使う人の多くはアントラージュ効果について聞いたことがありますよね。THCCBD の比率はその重要な要素です。一定の量の THC が含まれている方が効果がある病気はあります。私は、ヘンプ由来の CBDTHC がほとんど含まれていないものから、CBD : THC の比率が 20 : 1 の高 CBD 大麻、THC 優位で CBD はほとんど含まないものまで使ったことがあります。研究では、がんと疼痛のある患者の場合、CBD だけではなくて CBDTHC を含む製品のほうが効くということが示唆されています。本当に、ケース・バイ・ケースなんですよ。

研究では、がんと疼痛のある患者の場合、CBD だけではなくて CBD と THC を含む製品のほうが効くということが示唆されています。

Project CBD: THC の摂り過ぎで病院に連れて来られるペットはいますか? それはどれくらい大きな問題なのでしょう?

Project CBDでも先ほど、大麻の毒性には致死性はないとおっしゃいましたよね? ペットが大麻の食べ過ぎで死んでしまったケースをご覧になったことがあるんですか?

リヒター博士:私自身が目にしたのは、飼い主のエディブル製品をたくさん食べてしまった犬を、飼い主がすぐに獣医に連れて来なかったというケースです。次の日私の診療所に電話があったんです。残念ながらその犬には前日に嘔吐と発汗があって、肺に水が溜まり、その合併症の全身感染症で死んでしまいました。正直なところ、大麻製品を食べてしまったその日のうちに治療ができていれば、助かったことはまず間違いないと思います。飼い主が、手遅れになるまで連れてこなかったのが原因なんです。とてもかわいそうでした。でも、こういうことは本当にめったに起こりません。

Project CBD: ペットにはどういう方法で医療大麻を投与するのがお好みですか?

リヒター博士:液体のもの、大抵はオイルですね。液体だと用量を調節しやすいですからね。錠剤やエディブル製品は、正確な用量を徐々に増やしていくことが難しい場合がある。それに液体だと、一部は舌下の口内粘膜を通じて、CBDTHC が直接血液中に吸収されるのは確かだと思います。ペットの口に液体を含ませれば、薬の一部は直接吸収されて、より効果が高まる可能性があります。

Project CBD: ペットに医療大麻や CBD を飲ませたいと言う人は多いんですが、どれくらいの量を与えればいいのかよくわからないんです。その人のペットに最適な量を計算する良い方法はありますか?

リヒター博士:最初に与えるのに適切な範囲の量はあります。少なめに始めるのがいいでしょう。数日ごとに、ゆっくり少しずつ用量を増やしていってください。どんな症状であれ、望むような効果が得られたら、増やすのはそこまででいいと思います。人と同じで、動物も THC の精神作用には耐性が付き、時間が経つにつれて、明らかな副作用なしにより多くの量を摂れるようになります。ただし医療大麻は、すべてのペットに効果があるわけではありません。人間と同じように、医療大麻がよく効く個体とそうでない個体がいます。

Project CBD: 一般的に言って、獣医は医療大麻についてどれくらい知っていますか?

リヒター博士:そこが大きな問題なんですよ — 教育の不足がね。カリフォルニア州獣医委員会は、ペットに医療大麻を使うことに強く反対しています。獣医が飼い主と医療大麻の話をすること自体に反対なんです、大麻は悪いもので、使ってはいけない、と言う以外はね。

Project CBD: 動物のための薬としての CBD は、法的にはどういう位置づけなんでしょう?

リヒター博士:ヘンプ由来の CBD も含め、大麻は連邦法で禁止されています。医療大麻の草分けであるカリフォルニア州でさえ、私は獣医として、ペットのために医療大麻使用の推薦状を書くことができませんし、大麻製品を提供することもできません。でも、医療大麻がその人のペットにどんなふうに役立つ可能性があるかということをお話しすることはできる。法律が大きく変わらない限り、ペットのために医療大麻を欲しがっている人がそれを手に入れられないという問題が残るでしょう。

Project CBD: 自分のペットに大麻や CBD を与えたいと思っている人に、何かアドバイスはありますか?

リヒター博士:可能なら、獣医に相談してください。大麻は薬であり、用量は慎重に計算する必要があります。自分のペットには、THCCBD を何ミリグラム与えればいいのかを知ることが重要です。それがわかったら、そのペットのニーズに合った製品を探せばいいのです。自信がなかったら、少なすぎるくらいから始めてください。ゆっくり増やしていって経過を観察すればいいんですからね。そして、カビや殺虫剤、その他の汚染物が混入していないことを確かめてください。

Project CBD: 市場には、ペット向けのヘンプ由来 CBD 製品がたくさんあります。こうした製品の品質については概してどう思いますか? ヘンプ由来の CBD についてはどうお考えですか?

リヒター博士:ヘンプ由来の CBD を悪く言う気はないんですよ、医療効果はあると思いますからね。ヘンプ由来製品から始める人が多いのは、それが比較的手に入りやすいからです。でも多くの場合、そうした製品の CBD がどこから来たものなのかがわからない。どんなビタミンやサプリメントでもそうするように、製品は精査すべきだと思いますね。作っている会社に電話をして、原材料の出処と製造方法を訊いてください。ただしそういう会社が、本物の、安全な製品を売っていることを保証する政府の監視制度はありません。ヘンプ由来の CBD よりも効果があるかもしれない製品を手に入れたければ、ペットを飼っている人に残された唯一の選択肢は、医療大麻患者カードを入手して医療大麻ディスペンサリーに行くことです。理想的には、国内でオーガニック栽培されたものを探しましょう。どんな方法で抽出されたのか、そして、製品に含まれているカンナビノイドがすべてわかるといいですね。

Project CBD: ペットのために自分で大麻製剤を作りたい人のためのガイドラインあるいは何か助言はありますか?

リヒター博士:それは注意が必要です。分析に出せば別ですが、家で作ったものというのはカンナビノイドがどれくらい含まれているかわかりませんからね。自分で作ったものを使う場合は、ごくごく微量から始めて、少しずつ増やしていってください。多すぎるより、少なすぎる方がいいですから。

Project CBD中には、特に健康上の問題がないけれども、健康とウェルビーイングを維持するための予防薬として医療大麻を摂りたい人もいます。ペットにも同じことをするのは勧めますか?

リヒター博士:それは良い質問ですね。私もよく自問します。エンドカンナビノイド・システムの目的は、体内のホメオスタシス(恒常性)を維持することですから、マルチビタミンを摂るのと同じように、医療大麻を予防医療として使うことを考えるのは理に適っています。その場合、用量は最低量をキープするのがいいと思います。動物でも、人間でも、医療大麻を予防薬として使うことについてはもっと研究が必要です。

Project CBD: ペットのための医療大麻について学べる教材、あるいは大麻に肯定的な獣医を見つけるための情報源はありますか?

リヒター博士:まずは、あなたが普段かかっている獣医に大麻のことを話してみるといいと思います。その人が大麻について詳しくなくても、同じ地域で詳しい獣医を知っているかもしれませんからね。それと、American Holistic Veterinary Medical Association(AHVMA)という全国組織があります。AHVMA の会員が必ず医療大麻を診療に採り入れているわけではありませんが、医療大麻に肯定的な人のほとんどは、同時にホリスティックな考え方をしますので、医療大麻に詳しい獣医を見つけて対話を始めるためには良い入口になると思います。教材としては、私と仲間の一人が Greenflower Media でオンラインコースを教えました。このクラスでは、医療大麻がペットにどのように作用するのか、用量の決め方、良質な製品を選ぶにはどうすればいいかなどについて包括的に説明しています。今年中には私の本も出ます。『Integrative Health Care for Dogs and Cats(犬と猫のための統合的なヘルスケア)』というタイトルです。医療大麻についてもセクションをまるまる一つ割いています。用量のガイドラインもあります。また友人のロブ・シルバー(Rob Silver)は昨年、『Medical Marijuana and Your Pet(医療大麻とあなたのペット)』という本を出版しています。

Project CBD: 今日はお時間をいただきありがとうございました。

重要ポイント:あなたのペットに医療大麻を与えると決めたら、まず情報を集めましょう。あなたのペットに与える薬は、あなたが自分で口にするものと同じ基準で選ぶべきです。その製品が安全で、カンナビノイドの含有量、品質、汚染物質や添加物の検査を受けていることを確かめてください。できれば獣医のアドバイスを求めてください。あなたのペットに与える医療大麻はごく少量から始めましょう。そして医療大麻の効果をしっかり監視してあげてください。ジョージ・エリオットが書いたように、「動物とは実に心地よい友人だ—質問もせず、批判もしない」のですから。— Project CBD


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