大麻草や、CBDオイルなど大麻草から抽出されたものを摂取する方法は、驚くほどたくさんあります。そのほとんどは、大きくいくつかのカテゴリーに分けられ、それぞれに長所と欠点があります。CBDが豊富な乾燥大麻を吸う、THCの多いカートリッジをべーピングする、CBDオイルのジェルカプセルを飲む、またはオイルを舌下に垂らす—それぞれの場合で違った感覚を体験するはずです。

カンナビノイドが体内でどのように代謝されるかは、人それぞれ少しずつ違います。感じ方が百人百様なので、あなたにとって理想的な使い方を見つけるには多少の試行錯誤が必要かもしれません。

さまざまな摂取方法による作用の違いは、次のような点にあります。

  1. 効果発現時間:カンナビノイドの効果が現れるまでの時間はどれくらいか?
  2. 用量:最初はどれくらいの量から始めるのがよいか?
  3. 体内での分布:体のどの部分に最も強く作用するか?
  4. 効果持続時間:作用がどれくらいの時間持続するか?

当然ですが、必要な用量は、その製品の品質やカンナビス製品を使用する目的によって違います。次に説明するのは、まずはTHCの精神作用を抑えることを前提にしたものです。

吸入:喫煙またはべーピング

  • 効果発現時間:数秒から数分
  • 用量:必要最小限を吸い込む。一般的な大麻の喫煙量は、0.3〜1.0グラムほど。
  • 体内での分布:まず肺に作用し、続いて心臓、脳、それから体全体にほぼ等しく分布する。[1]
  • 効果持続時間:2〜3時間で効果は消失する。
Vaping Cannabis

肺を通って吸入された薬物は、肝臓で代謝される前に脳に送られます。そのため吸入は、カンナビノイドを摂取する一番手っ取り早い方法です。この方法では通常、THCやCBDといった植物性カンナビノイドの20〜30%が体に吸収されます。喫煙の場合もべーピングの場合も、熱することによって酸性カンナビノイド[訳注:THCAやCBDAなど]が中性のカンナビノイド[訳注:THCやCBDなど]に変換されます。

効果発現時間と持続時間が短いので、吸入は急性の症状(たとえば吐き気や急性の疼痛)の緩和に適しています。ほとんど即座に効果が現れるので、用量の調節がしやすく、自分に必要な用量がすぐに見つかります。THCを初めて使う人の場合、たとえ用量が多すぎてハイになったとしても、吸入の場合は他の摂取方法と比べてその効果は短時間で消えます。

喫煙かベーピングか/バッズかオイルか

カンナビノイドを吸入する方法には喫煙とベーピング(気化吸入)があります。乾燥大麻のほか、オイル状の抽出物もベーピングやダビングが可能です。喫煙の最大の問題は、肺に有害であることです。大麻の喫煙と肺がんあるいは慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは関連付けられていませんが、どんなものであれ、燃焼した物質の煙を吸い込むことは健康に害を与えます(たとえば咳、鬱血、ぜんそくなど)。テトラヒドロカンナビバリン(THCV)というカンナビノイドは気化しにくいため、THCVを医療利用したい場合には、喫煙あるいは吸入以外の摂取方法を使う必要があります。

ベーピングを喫煙を比べると、効果発現までの時間は少々長いですが、吸収率は高くなります。肺にとっては概してベーピングの方が害は少ないのですが、オイル製品に入っている希釈剤その他の添加物は、品質の悪いベポライザーを使って熱せられると分解して発ガン性物質になることがあります。その点、乾燥大麻をベーピングしてもそうした問題は起こりません。

乾燥大麻も大麻オイルもベーピングできますが、濃縮オイルをベーピングした場合の作用については、ほとんど研究されていません。抽出されたオイルに含まれるテルペンやカンナビノイドの量や割合は、その原料である大麻草と同じではありません。一方で、乾燥大麻をそのまま吸入するのは他のどんな方法よりも安定性を欠き、消費者はいつも必ず同じ品質のものを入手できるとは限りません。

エディブルとカプセル

  • 効果発現時間:1〜2時間
  • 用量:ほとんどの初心者の場合、THCの精神作用が現れる最小限の用量は3ミリグラム。CBD含有量が多い製品の場合は、5ミリグラムから数百ミリグラムまでと幅広い。[2]
  • 体内での分布:消化管で吸収され、肝臓で代謝された後、体全体にほぼ均等に広がる。
  • 効果持続時間:ほとんどの人では、約6時間で精神活性作用は消失する。それ以外の効果は最大12時間持続する。

経口摂取されたカンナビノイドは腸で吸収されて肝臓に送られます。効果を感じるまでには、空腹時に摂取した場合は約1時間、食べ物と一緒に摂取した場合は長ければ3時間かかります。THCが入ったエディブルを食べた場合は、少なくとも3時間経過するまでは追加を摂取すべきではありません。

カンナビノイドは、肝臓に運ばれていく過程で腸内にある受容体にも作用しますので、炎症性大腸炎のような疾患には顕著な効果を発揮します。肝臓では、THCやCBDは3種類の酵素によって分解されます。この過程を「初回通過代謝」といいます。THCは主に、THCよりも強力な陶酔作用を持つ11-OH-THCに変換されます。このことと、作用持続時間が長いことから、カンナビノイドの初心者は、5ミリグラム以上のTHCを含むエディブルを食べる前に、ハイになった状態に慣れておくことが大切です。

エディブルやカプセルは効果持続時間が長いので、さまざまな慢性疾患に向いています。

舌下投与と口腔粘膜用ティンクチャー

  • 効果発現時間:15分〜1時間
  • 用量:ほとんどの初心者の場合、THCの精神作用が現れる最小限の用量は3ミリグラム。CBD含有量が多い製品の場合は、5ミリグラムから数百ミリグラムまでと幅広い。[3]
  • 体内での分布:消化管で吸収され、肝臓で代謝された後、体全体にほぼ均等に広がる。
  • 効果持続時間:ほとんどの人では、約6時間で精神活性作用は消失する。それ以外の効果は最大12時間持続する。
CBD Tincture

口腔粘膜を介して使う薬は、口内および舌下の血管に直接吸収されます。舌の下にスプレーする場合、最低1分間経ってから飲み込むようにします。効果が現れるのは通常、投与後15〜30分で、1時間半ほどで最大になります。安定した効果を得るためには、投与の直前と直後は飲食を避けましょう。[4]

口腔粘膜用ティンクチャーには通常2種類の形状があります。舌下にすプレーするものと、一定の量がきちんと計れる目盛り(普通は0.5mlまたは1.0ml)のついたドロッパー付きのものです。どちらも、一定した用量を摂ることが可能です。これらの製品を使う場合は表記ラベルをよく注意してください。1mlあたりに含まれるカンナビノイドの量が表記されているはずです。

ティンクチャーには、エタノールやごま油などの溶剤が使われています。[5] 大麻由来の製剤による副作用には、実際には大量のキャリアオイルを摂取することが原因であるものもあります。

うっかり摂取しすぎないように

舌下スプレーは正確な用量を迅速に摂ることができますが、使い方がよくわからない人も少なくありません。CBDオイルを舌下にスプレーした後すぐにゴクンと飲み込んでしまうと、体はそれをエディブルと同じように代謝します。つまり、少ない量をより長い時間をかけて吸収することになるのです。CBDしか含まれていない製品であれば、感じられる効果が少ないだけのことですが、それがもしもTHCを多く含むティンクチャーであった場合、30分経っても効果を感じないので用量が足りなかったのではと思ってもう一度スプレーしてしまったりすると、意図しない陶酔作用が起こってしまいます。

薬物相互作用

低用量のカンナビノイドが、他の医薬品との併用によって、問題となるような薬物相互作用を起こしたという事例はありません。ですが、数百ミリグラム、あるいは数千ミリグラムという高用量のCBDを摂った場合、その人が使っている他の医薬品の代謝が困難になる場合があります。高品質のCBD製品を使えば、医療効果を得るためにそれほどの高用量が必要になることは通常ありませんが、CBDアイソレートしか手に入らない状況にある人は高用量を必要とするかもしれません。高用量のCBDを摂っている人は、他の医薬品との薬物相互作用が起きる可能性を回避するため、主治医に相談しましょう。

THC感受性に関する遺伝的要素

THCがどのように代謝されるかが、それによってどの程度の精神活性作用が起こるかを決めます。ヨーロッパ民族の血を引く人のうち、およそ20〜25%の人が、THCの代謝を遅くするように突然変異した遺伝子を持っています[6]が、アジア、アフリカの血を引く人ではその割合が低くなっています。この変異した遺伝子を持つ人は、そうでない人と比べてTHCの作用にかなり敏感で、2倍から3倍の用量を摂ったのと同じ体感がある可能性があります。特にエディブルではその作用が強く出るので、エディブルを摂る前には、自分のTHC感受性を知る必要があります。

その他の摂取方法

局所薬(トピカル)

Cannabis Topicals

塗り薬はカンナビス製品の中でも一般的なものの一つです。皮膚や関節の疾患に効果がありますが、血液中には吸収されません。テルペンや、陶酔作用のない酸性カンナビノイド(THCAやCBDA)が含まれていると皮膚への吸収が高まるようですが、それでも血液内に到達するほどの量は吸収されません。トピカル製品であまりテルペン濃度が高すぎるものは、皮膚を刺激し、あるいは傷める可能性があります。

経皮吸収

経皮吸収型製剤は皮膚に貼るものですが、作用の仕方は局所薬(トピカル)とはまったく違います。経皮パッチは、一定した速度で血中にカンナビノイドを放出するようにできています。THCが含まれている場合は精神活性作用があります。

経皮吸収による作用は、舌下投与による作用とやや似ていますが、経皮パッチの作り方によっては効果をより長時間持続させることができます。ただし、CBDアイソレートを使用した臨床試験では、舌下投与はてんかんに効果があったけれども経皮パッチは効果がなかったということは知っておくべきでしょう。経皮吸収型の製剤を販売している会社は、その吸収率を示すデータを公表すべきです。

水溶性カンナビノイド

カンナビノイドは、ベトベトしたろう状の化合物です。油とは混じりやすいですが、水には溶けません。ただし、カンナビノイドを水に溶かす方法も色々あり、[7]たとえばCBDやTHC入りの飲料なども作れます。とは言え、この分野の研究はあまり行われていません。カンナビノイドが水に溶けるようにするというプロセスは同時に、人の体がTHCやCBDを吸収しやすくするかもしれません。つまり、そのような製品は、エディブルよりも作用が早く現れ(最短で20分)、短時間でより多く吸収される、ということです。

CBDやTHCを可溶化しても、時間が経つと元に戻る場合がありますので、水溶性の製剤を開発している人は、製品の安定性を確保しなくてはなりません。概して、水溶性のカンナビノイドの摂取はエディブルの摂取とあまり違いませんが、前者の方が作用の発現時間が短く、効果が強く現れるかもしれません。


Adrian Devitt-Lee は Project CBD のチーフ・サイエンスライターです。
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脚注

  1. カンナビノイドは油性化合物であり、主に、脳、脂肪、肝臓などの脂肪組織に分布する。
  2. マリノール(FDAの承認を受けたTHCアイソレート)の用量は、1カプセルにつき2.5、5、または10ミリグラム。
  3. ヨーロッパでは多くの国で多発性硬化症による痙縮を抑制するために使用が許可されているサティベックス(Sativex)には、スプレー1回につき2.7mgのTHCと2.5mgのCBDが含まれている。医師は、一日最高12回までを数回に分けて摂取することを患者にアドバイスするよう指導されている。(合計すると一日の用量はTHC 32mgとCBD 30mgとなる。)純粋にCBDのみである口腔粘膜スプレー、エピディオレックス(Epidiolex)は、一日あたりの標的用量が体重1キロあたり5〜20mgである。この2つの医薬品は、特定の疾患の治療薬としてさまざまな国で承認されている。
  4. 興味深いことに、ティンクチャーを摂る前に歯を磨くと、バイオアベイラビリティーを高め、体内に吸収される量を安定させる可能性がある。
  5. 厳密に言えば、ティンクチャーというのはエタノールに溶解させた抽出物のことであるが、キャリアオイルに浸潤させたものをティンクチャーと呼ぶことも多い。
  6. こうした遺伝子は酵素CYP2C9をエンコードして(遺伝子情報を持って)いる。この酵素の働きを阻害する薬は、THCの作用を強める可能性がある。この酵素の働きがもともと弱い人では特にその傾向が強い。他にもTHC感受性に影響する遺伝子は多々あるが、その中には、CB1受容体をエンコードするCNR1や、別の代謝タンパク質をエンコードするCOMTなどがある。
  7. カンナビノイドを水溶化する手段としては、たとえばカンナビノイドを乳化させ、粒子を界面活性剤で包み込んで安定させる方法、体内で代謝されてTHCやCBDになる水溶性のプロドラッグを作る方法、水に簡単に溶けて人体に代謝される「分子のカゴ」に、THCやCBDの分子の一つひとつを閉じ込める方法などがある。