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医師ボニ・ゴールドスタインの著書『Cannabis Is Medicine』からの抜粋です。

片頭痛はごく一般的な疾患で、世界人口の 12% の人が片頭痛に悩まされています。片頭痛は、何か特定の引き金によって引き起こされることが多く、通常は軽い痛みから始まってそれが徐々に激しい痛みになります。ズキズキと脈打つような痛みが特徴で、往々にして頭の片側だけが痛みます。吐き気、嘔吐、光や音に過敏になるなどの症状が伴うこともあります。片頭痛が始まる前に、間もなく片頭痛が始まることを知らせる、「前兆」と呼ばれる感覚の異常を経験する人もいます。片頭痛は親から子へと伝わるもののようです。主な治療法として使われる「トリプタン」と呼ばれる一連の薬は、脳内で炎症性化合物の分泌を阻害する働きがあります。これは、激しい片頭痛の痛みを止めるあるいはやわらげるのにかなりの効果がありますが、残念ながら強い副作用が出る場合があり、反跳性頭痛、胸の痛みや締めつけ感、めまい、吐き気、嘔吐、皮膚が熱く感じる、赤くなる、皮膚の下がムズムズするなどの症状が出ることがあります。またトリプタンは高額で、保険会社の多くは患者が買える薬の量に制限を設けています。これとは別の、麦角アルカロイドと呼ばれる薬も片頭痛の治療薬として処方されることがありますが、トリプタンほどの効果はありません。

片頭痛に苦しむ人からの、医療大麻が症状をやわらげてくれるという報告は山ほどありますが、その作用機序を実証する研究は残念ながらほとんど行われていません。近年の研究は、片頭痛の原因が内因性カンナビノイド欠乏症と異常な炎症反応である可能性を示しています。エンドカンナビノイド・システムが細胞のホメオスタシスを保つために存在していることを思い出してください。片頭痛持ちの人はよく、たとえば明るい光、空腹、ホルモン、特定の匂いや食べ物など、何かが引き金になって片頭痛が起きると言います。こうした片頭痛のトリガーは脳内のバランスが崩れる原因となり、本来は、それによって今度はホメオスタシスを維持するために内因性カンナビノイドが産生されるのです。内因性カンナビノイドが足りないと脳内のバランスは崩れたままで、片頭痛が発症します。こうしたトリガーはまた、炎症を引き起こし、それが暴走して痛みにつながります。

大麻草は何千年も前から頭痛の治療に使われてきました。医療大麻の患者は、痛みがやわらぎ吐き気を抑えよく眠れるようになると言います。また、医療大麻を使うと片頭痛の頻度と強度が軽減するとも報告されています。片頭痛のトリガーとしてよく知られているもの、なかでも睡眠不足、不安、ストレスなどが大麻によって軽減されるために、片頭痛の発作回数が減るのです。また患者は、高価な片頭痛の薬に費やす費用も軽減され、学校を欠席したり仕事を欠勤する日数も減って、全体として生活の質が向上したとも述べています。

THC の大麻を、特に痛みが始まる初期に摂取すると、片頭痛の強度が軽減されることは間違いありません。患者の中には、高 THC の医療大麻を低用量で日常的に摂取することで、片頭痛の頻度と強度が軽減されると言う人もいます。あるいは、高 CBD の大麻を毎日摂ると片頭痛が起こらないという人もいます。いったん頭痛が始まってしまったら、ほとんどの人は、効果発現が早い吸入や舌下投与などの摂取方法を選びます。どの品種がその人に効くかは、自分で試行錯誤して見つけるという人がほとんどです。

ニナの場合

ニナは痩せ型で、黒い目と髪を持つ若い女性です。人好きのする愛想の良いニナですが、私のクリニックに来たのは、常に片頭痛があるせいで私生活にも仕事にも支障があるからでした。40歳にして不動産会社の副社長であり、結婚してよちよち歩きの母親でもある彼女は、14歳のときからひどい片頭痛に悩んでいました。片頭痛が起きるときは必ず、実際に片頭痛が始まる1週間前に予兆があり、薬局で買える薬や処方薬(いずれも心臓病の薬と抗けいれん薬)を色々使って防ごうとしても、月に3回から4回の片頭痛があり、それ以外にも常に頭が痛いと言うのでした。抗けいれん薬を飲むとある程度は普通に日常生活が送れるのですが、副作用があり、鍼灸で少しは楽になりますがそれも一時的なことに過ぎず、結局疲れ果てて床につくのでした。

ニナの友人には嗜好大麻を使う人がいましたが、ニナ自身は大麻を使ったことは一度もなく、医療大麻に非常に興味があって、私のアドバイスを求めて受診に来たのです。医療大麻の効果はほとんどたちどころに現れました。ニナの場合、高 THC の品種と、ミルセン(睡眠を助けるテルペン)の含有量が多い品種を組み合わせると最も効果があるようでした。効果発現時間が短いので、主に夜、ベポライザーを使って摂取します。ちょっとの間試行錯誤を繰り返して、頭痛をやわらげて睡眠を促すにはほんの数回ベポライザーを吸うだけで十分であることがわかりました。医療大麻を使い始める前は、頭痛があると自分の能力の 20% くらいしか発揮できていないように感じ、本格的に片頭痛が始まってしまうと、2〜3日はベッドから起き上がれなかったのが、医療大麻を使い始めてからは、3年間、イブプロフェンの他には薬を使っていませんし、その間片頭痛が起きたのはたったの3回です。

ニナにとっては、常に頭痛に苦しんでいる状態が当たり前になっていましたが、今その頃のことを振り返ると、自分がどれほど時間を無駄にしたか、その痛みがいかに不必要であったかがわかると言います。そのポジティブな影響はニナにとってもニナの家族にとっても非常に大きいものでした。片頭痛のために仕事を休むこともなくなり、何年もの間イヤというほど繰り返してきた、病欠届け出の面倒な手続きをする必要もなくなったのです。何を食べても大丈夫かとか、片頭痛のトリガーになることの心配をせずに、普通の人のように過ごせるようになりました。以前よりも幸福で、家族との生活もより良いものになりました。今では家族での行楽や集まりをキャンセルすることもなく、子供の世話にも積極的に参加できます。「片頭痛があるときに泣きわめく赤ん坊の世話をするなんてとてもできなかったわ」とニナは言います。ニナは医療大麻でハイになることはなく、大麻は大切に、責任を持って使うべき薬であると考えています。自分のような不必要な苦しみを味わわせたくないので、家族や友人にも医療大麻について教えています。「大麻が全部解決してくれたの。私は生まれ変わったのよ」と彼女は言うのです。

ニナは、内因性カンナビノイド欠乏症である可能性が高いと思います。高 THC の大麻を摂ると、カンナビノイド受容体に働いて、痛みと炎症をもたらす異常な信号を送っている脳内の神経伝達物質のバランスが改善されるのです。明確にエンドカンナビノイド・システムを治療標的とすることで、ニナの症状はほぼ消えました。ごくシンプルに言えば、役に立たなかった頭痛の薬は、片頭痛の根本原因を解決しなかったということです。今、ニナは単に痛みという症状を治療しているのではありません。エンドカンナビノイド・システムのバランスを維持しているのです。それが、医療大麻による治療を始めてから片頭痛の回数が劇的に減少した理由です。

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参考文献:

Burstein, R., et al. “EHMTI-0354. Abnormal expression of gene transcripts linked to inflammatory response in the periosteum of chronic migraine patients: implications to extracranial origin of headache.” The journal of headache and pain 15.1 (2014): 1-1.

Rossi, Cristiana, et al. “Endocannabinoids in platelets of chronic migraine patients and medication-overuse headache patients: relation with serotonin levels.” European journal of clinical pharmacology 64.1 (2008): 1-8.

Lichtman, A., et al. Investigation of Brain Sites Mediating Cannabinoid-induced Antinociception in Rats: Evidence Supporting Periaquaductal Gray Involvement. Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics (1996) 276: 585-93

4 El-Mallakh, R. Marijuana and Migraine. Headache (1987) 27: 442-43