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医療大麻は、生体マトリックスの、身体と脳が出会う部分と関連しています。大麻草に含まれる CBD その他の化合物は、人間の身体が作り出す化学成分と非常に似ているため、多くの合成医薬品よりも上手く身体になじみます。内因性カンナビノイド研究の第一人者であり、ハーバード大学で実験心理学の博士号を取得したブラッドリー・E・アルガー(Bradley E. Alger)博士によれば、「人間の免疫系、神経系、その他ほぼすべての臓器において、内因性カンナビノイドは文字通りボディとマインドの橋渡しをしており、内因性カンナビノイドを理解することで、脳の中で起きていることと肉体の健康や疾患を結びつける仕組みが明らかになり始める」のです。

糖尿病と肥満のリスクの軽減

大麻を日常的に使用している人は、そうでない人と比べ、肥満度指数と胴囲の数値が小さく、糖尿病と肥満のリスクが低いということを示す研究の結果がいくつもあります。2011年に『American Journal of Epidemiology』に掲載された、52,000人を超える回答者を対象としたアンケート調査は、大麻使用者では肥満の人の割合が3分の1ほど低いという結果でした。しかもアンケートの回答者が一日に摂取するカロリー量はより高い傾向にあり、このことは、THC が、食欲を高めるけれども同時に炭水化物の代謝を促進するホルモンであるグレリンの働きを刺激することと関係しているかもしれません。CBD 単体では 2006年に、ラットにおいて糖尿病の発症率を低下させることが示されていますし、2015年にはイスラエルとアメリカのバイオ医薬品共同企業が、CBD を使った糖尿病治療に関する第2相の臨床試験を始めています。研究によれば CBD は、身体が白色脂肪を、体重を減少させる褐色脂肪に変換させるのを助け、正常なインスリン産生と糖代謝を促進します。

4,600名を超える被験者を調査した結果、現在大麻を使用している人はそうでない人と比べ、空腹時インスリン値が最大で 16% 低く、糖尿病を予防する HDL(善玉)コレステロールの値が高く、インスリン抵抗性は 17% 低いという結果でした。以前は大麻を使用していたけれども現在は使用してていない人の場合、傾向は同じですがその程度は小さく、大麻による予防効果は時間とともに低減することが示唆されました。

インスリンが過剰であると、糖分が脂肪として蓄えられ、体重の増加と肥満が促進されます。カンナビノイドとインスリン調節の関係についての研究は、肥満と2型糖尿病の予防に関する画期的な発見に繋がるかもしれません。

コレステロールの中身の改善と心血管系疾患のリスクの低減

2013年に発表されたある研究では、4,652名を対象に代謝に対する大麻の影響を調べ、以前大麻を使用していた、あるいは現在使用している人と、非使用者を比較しました。その結果、現在大麻を使用している人では HDL(高比重リポ蛋白)コレステロール、つまり「善玉コレステロール」の血中濃度が高いことがわかりました。同じく 2013年、カナダのイヌイット部族のメンバー 700名以上を対象にした分析調査では、大麻を常用している人は HDL コレステロール値が高く、LDL コレステロール(悪玉コレステロール)の値は若干低いという結果でした。

アテローム性動脈硬化症は食生活やライフスタイルに関係があり、開発された西欧諸国では少なくなく、心臓疾患や脳卒中につながることがあります。アテローム性動脈硬化症は慢性炎症疾患の一つであり、動脈硬化性プラーク(酸化した LDL コレステロールを含む免疫細胞)が徐々に蓄積します。内因性カンナビノイドによる信号伝達がアテローム発生の過程に重要な役割を果たすということを示唆する科学的なエビデンスは増加しており、アテローム性動脈硬化症とは、高血圧、感染性の微生物、あるいはホモシステインと呼ばれるアミノ酸の過剰な存在などが動脈壁に与える損傷に対する身体の反応であることがわかっています。アテローム性動脈硬化症につながる過程を炎症分子が刺激するということが、実験によって示されているのです。現行の治療法はある程度の効果がありますが、さまざまな副作用があります。CB2 受容体は炎症が起きると3倍に増え、人体が産生する天然カンナビノイドであるアナンダミドと 2-AG による炎症の軽減を可能にします。CB2 受容体はまた、植物性カンナビノイドによっても活性化します。

2005年に行われた動物実験では、低用量のカンナビノイドを経口摂取することで、アテローム性動脈硬化症の進行が遅くなりました。翌年には、カンナビノイドに免疫調節作用があることは科学において「しっかりと確立」されており、アテローム性動脈硬化症を含む幅広い疾患に治療効果を発揮する可能性があることが示唆されています。

2007年に CBD を使って行われた動物実験では、CBD には心臓発作の際に心臓を保護する作用があることが示され、同年、CB1 および CB2 受容体が心臓の疾患と健康にどのように関与しているか、詳細が発表されました。

がんのリスクの軽減

カンナビジオールは、悪性腫瘍の成長を防ぐのに役立つでしょうか? 2012年に行われた動物実験によれば、CBD を与えられたネズミは、発がん性物質を投与された後で大腸がんを発症する確率が有意に低いことがわかりました。また、すでに複数の研究によって、THC が腫瘍の成長を防ぎまた縮小させることが示されています。その中には、1996年に動物モデルを使って行われ、THC が良性・悪性ともに肝細胞腺腫の腫瘍の発生率を低くするという結果を示した実験も含まれます。2015年には、カリフォルニア州で 84,000人以上の男性患者のカルテを分析した結果、大麻の使用者でタバコは使用しない人の場合、膀胱がんの罹患率が基準値よりも 45% 低いことがわかりました。皮膚がんの治療には局所薬を使うことができます。現在進行中の研究では、がんの予防および治療のために最適な CBDTHC の比率と用量を明らかにすることに焦点が置かれています。

大麻は脳の健康を維持し、外傷や変性からの回復を助ける

カンナビノイドには神経保護作用があります。つまり、脳を健康に保ち、調節するのに役立つのです。それにはカンナビノイドが脳に対して持っているいくつかの作用が関係していると考えられ、その中には、損傷を受けた細胞を排除したり、ミトコンドリアの効率を高める作用などが含まれます。CBD をはじめ、大麻草に含まれる抗酸化化合物はまた、グルタミン酸毒性を軽減させます。脳の神経細胞による信号伝達を刺激するグルタミン酸が過剰であると、細胞が過剰興奮状態になり、最終的には細胞損傷あるいは細胞死につながります。このようにしてカンナビノイドは、脳細胞を損傷から護り、健康できちんと機能する状態に保つのです。CBD はまた、脳に対する抗炎症作用もあることがわかっています。

加齢とともに、ニューロンの新生は大幅に減速します。脳の健康を維持し、変性性疾患を予防するためには、新しい脳細胞が継続的に生成されなければなりません。2008年に行われたある研究では、CBD および THC 様のカンナビノイドを低用量投与した動物モデルで、新しい神経細胞の生成が促進され、これは歳を取ったマウスにおいても同じでした。CBD はまた、ニューロパシーやアルツハイマー病など、神経に関係する疾患の予防にも役立ちます。

骨の病気や骨折の予防

カンナビノイドは骨の代謝を促進します。これは、古い骨材料が1年に約 10% の割合で新しい骨材料に取って代わられる、頑丈で健康な骨を長期的に保つのに必要不可欠なプロセスです。特に CBD には、体内で骨を形成する化合物を破壊する酵素の働きを阻害することがわかっており、骨粗鬆症や骨関節炎といった加齢に伴う疾患を発症する危険性を低減します。この二つの疾患はいずれも、体内で新しい骨や軟骨細胞が生成されなくなります。CBD は、新しい骨が作られるのを促進します。そのため CBD は折れた骨の治癒を早めることが知られており、より強靭な仮骨ができるために再び骨折する危険性が低くなるのです(CBD で治療した人の骨は、35〜50% 強度が高くなります)。

皮膚を護り、癒す

人間の身体で CB2 受容体が最も集中し、その数が多いのは皮膚です。CBD を含むローション、美容液、オイル、軟膏などを局所的に塗布すると、(ビタミンEやビタミンCよりも強力な)CBD の抗酸化作用が、紫外線や環境汚染物質といったフリーラジカルによるダメージを修復します。皮膚にはカンナビノイド受容体があり、皮脂腺による皮脂の産生の調節にも関与しているようです。ニキビから乾癬まで、皮膚疾患の治療を目的とした大麻由来のさまざまな局所薬が開発されており、ダメージを受けた皮膚の治癒を早めます。実際に歴史資料を調べれば、何千年も昔から地球上のさまざまな文化において、人に対しても動物に対しても、傷の治療に大麻が使われてきたことがわかります。皮膚がんの治療薬として濃縮された大麻オイルの人気が高まっているのは、黒色腫や上皮性悪性腫瘍に CBDTHC の製品を塗布して治癒した症例が数多く記録されているからです。局所薬として大麻を使っても精神作用は起こりません。

抗炎症作用

カンナビノイドには抗炎症作用があることが、数々の研究で裏付けられています。CBD は全身の多くの臓器でエンドカンナビノイド・システムに作用し、全身の炎症を軽減させます。さまざまな疾患に炎症が関わっているため、CBD の治療効果は非常に多岐にわたります。


この記事は、レオナルド・レイナウ(Leonard Leinow)とジュリアナ・バーンバウム(Juliana Birnbaum)の共著による『CBD: A Patienntt’s Guide to Medicinal Cannabis』(2017年、North Atlantic Books 刊)から抜粋したものです。


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