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いつもどおりの朝。その日のカンナビノイド関連のニュースが届いたことを知らせるチャイムが PC から聞こえました。メールを削除しようとしたそのとき、ある見出しが目に止まりました—「Creative Ticking 社が、Ticking や枕やピロケース用の布地に CBD 入りの製品を新発売」

白状すると、私は ticking とは何のことか知りませんでした(調べたら、マットレスを包む丈夫な布のことでした)。それにしても、CBD 入りの枕やピロケース? 私はすっかり目が覚めました。ちょっと皮肉です — CBDを染み込ませた枕の謳い文句は、ぐっすり眠れる、ということだったのですから。

私はケラケラ笑いながらこの、「CBD 狂騒曲」に新しく加わったアイテムを、すぐに Twitter に、 #stopthecbdmadness というハッシュタグをつけて投稿しました。でも、考えてしまったのです — 爆発的に拡大中の CBD 市場にこのような製品が加わることが、いずれ CBD の信憑性を貶めてしまうのではないのだろうか、と。

私が CBD の世界を知ったのは、3年前、大麻について何も知らないブロガーだった頃です。私がどうやって生計を立てているのかを人に話すと、大抵の人はキョトンとした顔で私を見たものです。それから3年、CBD は今や全世界的なブームとなっています。

CBD で◯◯◯が治った」という報道や口コミで広がる体験談のおかげで、CBD は、ヘルスケア産業を揺るがす究極の健康補助食品になりました。CBD は、店頭で購入でき、実にさまざまな症状を緩和させ、かつ副作用もほとんどありません。

CBD 製品の売上げはアメリカだけでも 200億ドルに及ぶと推定されており、他の業種がこの流行にあやかりたいと思うのは不思議なことではありません。真っ先に名乗りを上げたのは飲食料品業界、それから美容化粧品業界が続きました。でも、CBD を加えたテキスタイルや衣料品には、業界関係者も首をひねりましたCBD 入り頭皮美容液はいかが?)。

CBD入りスポーツウェア 

フィットネス業界では今、ワークアウトの前か後に CBD オイルを摂るのが流行っています。トレーニングのセッションとセッションの間の肉体の回復を実際に CBD オイルが速めるかどうか、研究室で証明されるのはまだこれからですが、激しい運動をする人たちは、絶対に効果がある、と言います。

フィットネスを助けるサプリだった CBD が、いったいなぜスポーツブラやレギンスの繊維を包むものに変容したのか、その企画の過程に加わっていたら面白かったでしょう。まさにそれをしたのが、ニューヨークに拠点をおく女性用スポーツウェアのブランド、Acabada です。

Acabada のCEO、セス・バウムはこんなふうに説明します。「ティンクチャーやエディブルなど、典型的な CBD 製品の人気が飛躍的に高まる中で、私たちは、健康やウェルネスについて別の視点で捉えることにしたのです。私たちの衣類は、物理的に CBD を浸透させることで、ファッション、フィットネス、ウェルネスが交差するところにあるわけです」

Acabada は、マイクロカプセル化という工程を通して、レギンズ、ジャンプスーツ、シュラッグ、そしてスポーツブラなどのスポーツウェアに、最大 25 グラムの CBD を浸透させます。皮膚の摩擦や筋肉の動きが CBD を放出させ、皮膚を通してそれが吸収されるというのです。CBD はそのアイテムを最大 40回洗濯するまで残り、その後は普通のスポーツウェアとして着用するかアップサイクリングに回すことができる、と Acabada は言います。

でも、もっと心配なのは、Acabada が、このスポーツウェアは「着た瞬間から痛みと戦い、最初のスクワットやランジやクランチを行う前からヒーリングを促して、疲労の回復が始まる」と謳っていることです。医療効果を謳っているように聞こえないよう上手に言葉を選んではいますが、言おうとしていることは明らかです —「このスポーツウェアを着れば筋肉痛になりません」と言っているのです。

CBD入りヘアケア・美容製品

CBD オイル入りの軟膏、ローション、クリームなどを局所薬として使うというのは、CBD 製品としては昔からあるものです。ある研究によれば、CBD を外用薬として塗布すると皮膚を通して浸透し、抗炎症作用と免疫調整作用が発揮されます。また、炎症性で治療が難しいニキビといった皮膚病の治療薬としても役に立つであろうことは、想像に難くありません。

けれども、CBD をヘアケア製品に加えた場合の効果については、エビデンスはまだありません。頭皮の炎症を鎮めるという話ならば、理論的には CBD が役に立つ可能性もあるでしょう。でも、CBD 入りの髭用オイルCBD 入り寝癖直し? ほんとに? それだけではありません。ヘアケア製品に関しては、CBD は限りないスーパーパワーを発揮するようです — 中には切りすぎてしまった髪を直すなんてものまで。

CBD入りコーヒーとアルコール

飲食料品業界もまた、CBD をめぐる馬鹿げた騒ぎと無関係ではありません。CBD 入りのコーヒーはよく、カフェインによる興奮を抑えると言って販売されています。実際、Project CBD のエイドリアン・デヴィット-リーは、カフェインとカンナビノイドが体に反対の作用を与える可能性があると説明しています。ただし、CBD がカフェインのネガティブな作用を抑えるのではなく、コーヒーが、CBD の持っている、神経をリラックスさせ、炎症を抑え、内因性カンナビノイドの産生を助長する効果を打ち消してしまうのです。

CBD 入りのアルコール飲料に至っては考えたくもありません。CBD のような、医療効果のある化合物をアルコール飲料に加えるというのは、無責任と言ってもいいと思います。人々にもっとお酒を飲むよう促す可能性があるのですから。

CBDは、有能なカクテルのミクソロジストに今最も人気の材料かもしれません。でも、肝臓はもちろんのこと、お酒が体に与える悪影響を考えると、CBDとお酒を一緒にすべきではないというのが私個人の意見です。 

皮肉屋さんや大のお酒好きは、アルコールは肝臓を傷めるけれども CBD には肝臓を護る働きがあるかもしれないのだから、この二つは最高の組み合わせではないか、と言うかもしれません。ですが、私の知る限り、現在市場にあるアルコール飲料の中には、アルコールによるダメージを軽減することが研究で証明された素晴らしい材料を含むものは存在しません。倫理的に考えれば、おそらくこれからもそうあるべきでしょう。

本当のことを言えば、CBD という荒馬はすでに厩舎を飛び出し、もはや止めようがありません。唯一の希望は、賢い消費者がマーケティングの嘘を見破って、せっかく稼いだお金を、CBD 入りのマットレスや CBD 入りのカクテル、あるいは CBD 入りの靴下を買うのに費やすべきかどうか、ご自分で決めてくださることです。


Project CBD の寄稿者メアリー・バイルズ(Mary Biles)は、ホリスティックヘルスに造詣の深いジャーナリスト、ブロガー、エデュケーター。イギリスとスペインを拠点とし、医療大麻研究の進歩を正確に報告することに注力している。


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