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Veterinary Cannabis Society(獣医大麻協会、VCSの共同創設者であるゲリー・リヒター博士とトリナ・ハザー医師が、ネバダ州リノで 2021 年 10月に開かれた American Holistic Veterinary Medical Association(全米ホリスティック獣医学協会)の学術会議にパネリストとして参加しました。その質疑応答の内容を抜粋してお届けします。

初めに:(ゲリー・リヒター博士によるイントロダクション)「VCS の使命は、獣医やペットの飼い主に、大麻の安全で効果的な使い方を知ってもらうことです。VCS は、現在獣医が直面しているさまざまな法的問題を解決するために、規制当局や国会議員にも働きかけています。これはヘンプ由来 CBD 製品と、合法州に住んでいる人の場合はより THC 含有量が多い製品の両方に当てはまることです。また動物向けに製造・販売されている製品がきちんとしたものであること、つまり安全に製造され、正しくラベル表示され、また法律に従って適切な広告がなされるように、大麻業界とも連携しています。さらに VCS は製品の認証も行っています。ですから、もしあなたが手にとった製品に VCS による認証のマークがあれば、その製品の品質と効果が確認されていることになります」

参加者からの質問:VCS による製品評価は、NASC(National Animal Supplement Council、全米動物サプリメント評議会)による認定とどう違うのですか?

ゲリー・リヒター:実は、ヘンプ由来の製品に関しては、NASC を含むいくつかの組織と協力する可能性について協議中です。NASC は、製品とその製造過程の評価という意味では良い仕事をしていると思います。一方私たちが貢献できるのは教育の面です。つまり、獣医やペットの飼い主に、市場にある製品の中から、カンナビノイドの特定の比率であったり、テルペンのプロフィールであったり、そういう観点からの情報を提供して、治療しようとしている症状に最も適したものを上手に選べるようにすることができます。

質問:THC には毒性があって犬や猫には与えてはいけないと思っていましたが?

トリナ・ハザー:適切な用量を与えれば THC は非常に効果があります。私は動物のがんを診療しますが、私が診ているがん患者の多くが非常に高用量の THC を使っており、中には 30mg 以上の THC を一日2回摂っている患者もいます。嘘みたいだと思うでしょう? 人間だって、そんなに摂ったら一週間眠り続ける人だっていますよね。でも実際に、病気の動物にそれほどの高用量を摂らせることは可能なんです。もちろんみんながみんな同じ用量を摂れるわけではないし、同じスピードで用量を増やしていけるわけでもありません。時間をかけて徐々に用量を増やしていくうちに、CB1受容体は内在化して耐性がつきます。ですから適切な指導のもとで徐々に用量を上げていけば、高用量を与えることが可能です。

質問:大麻は犬や猫のてんかんに効きますか?

トリナ・ハザー:THC がてんかん発作にかなり効くことを示すエビデンスがいくらかあります。これは主に、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸塩の働きを阻害することによるものです。CB1 受容体と結合することで、グルタミン酸塩がひっきりなしに放出されるのを阻害することができるのです。ただし、研究のほとんどは CBD が主成分である製品を使って行われていて、なかには CBD アイソレートが発作に非常に奏功したという結果もあります。ですから、THC が入っている製品を使うとしても、発作のための製品に含まれている THC は少ないと思います。ご存知のようにアントラージュ効果というものがあって、これはつまり製品に含まれるさまざまなカンナビノイドやテルペン、フラボノイドなどの相乗効果のことですね。THC 以外のカンナビノイドや数種類のテルペンにも、神経を鎮め、抗けいれん作用があることが示されています。

てんかんのある犬に CBD が主成分のヘンプ由来製品を与えたところ、偽薬を与えた犬と比べて一か月あたりの発作の平均回数が減ったという無作為化盲検プラセボ対照試験の結果が論文化されています。

ゲリー・リヒター:大麻だけを使ってけいれん発作を制御できるかと言うと、私の経験ではそういうことはあまりありません。私には、抗てんかん薬を摂っている患者もいますし、大麻やハーブ、鍼、その他の治療だけを行っている患者もいます。てんかんの形態はそれぞれに違うし、反応の仕方もそれぞれなんですよ。

質問:カンナビノイドの比率の違いと酸性カンナビノイドについて訊いてもいいですか? THCTHCACBDCBDA の、効果と使い方の違いを教えて下さい。

トリナ・ハザー:まず比率と用語について少し説明しましょう。CBD が主成分の製品というのは、THC よりも CBD の含有量が多いという意味です。通常は CBD の方がかなり多くなっています。「かなり」というのは、CBDTHC が 20:1 あるいは 30:1、つまり THC 1 に対して 20倍または 30 倍の CBD が入っているということです。この種類の製品は通常、てんかん発作、ある種のがん、不安神経症、軽度〜中程度の炎症や関節炎などの治療に使われます。CBD には作用標的が 65 種類以上あり、THC のように主に CB1CB2 受容体だけに作用するのではなくて、他にもさまざまな受容体に作用します。だからこそヘンプ由来 CBD 製品は、犬の変形性関節症やてんかん発作にとても効きますし、その効果は論文にもなっています。CBD をメインとする製品は、血糖値を下げるので糖尿病にも効果があるとも考えられています(あるマウスモデルを使った実験でそのような結果も示されています)。

最近発表された、犬のがん細胞株を使った研究論文では、CBDACBD について調べていますが、5種類のがん細胞株において、CBDA よりも CBD の方が高い抗腫瘍作用を示しました。ただしこれもまたペトリ皿での話で、実際の患者について言えることではありません。THCA に制吐作用、抗けいれん作用、抗炎症作用があることを示した論文もあります。THCA が特徴的なのは、TNF-α 経路を阻害することによる抗炎症作用があることす。CBDATNF-α 経路は阻害しませんが、その抗炎症作用の一因は非選択的に COX を阻害することかもしれません。CBG(カンナビゲロール)は最近流行りのカンナビノイドですね。CBG を「すべてのカンナビノイドの母」と呼ぶ人もいますがそれは違うんです。すべてのカンナビノイドの母は、CBG の母でもある CBGA です。CBG は、非常に高い抗腫瘍作用を持っている特別なカンナビノイドです。私は CBG にとても期待しています。CBG には筋肉を弛緩させる作用もありますから、痛みや尿道炎のために筋肉が緊張している犬や猫に効果があるのではないかと思います。

質問:製品の形状によるバイオアベイラビリティの違いについて教えてもらえますか? おやつとか、液体になっている抽出物とか。

ゲリー・リヒター:CBDが身体に吸収されることは確かですが、製品の形状によって確かに差があります。たとえば、たしかコロラド州で行われたのだと思いますが、CBD そのままのものとマイクロカプセル化したもの、それに外用薬を比較した研究があるんです。興味深いことに、3つとも血中から CBD が検出されたんですが、私の記憶に間違いがなければ、検出されるまでの時間はマイクロカプセル化されたものがちょっと早かったんです。ただし、CBD そのままのものと比べて、血液中から排出されるのも早かったんですね。外部薬も吸収はされましたが時間がかかりました。おやつと一緒に与えるか、そうでなければ餌と一緒に与えた方が、空腹のときに与えるよりもバイオアベイラビリティが上がるという研究結果もあります。これは証明されています。サルでも人間でもこの比較は行われていて、カンナビノイド製品は脂質の多い食事と一緒に摂るとバイオアベイラビリティが上がるんです。市場にある製品はティンクチャーの形状のものが多いですから、ピーナッツバター・ボールか何かにちょっと加えてやるのは簡単ですよね。

質問:舌下投与型の製品はどうなんでしょう?

ゲリー・リヒター:舌下投与型製品を犬や猫に与えるのが難しいのは単に実用的な面ですよね。大麻製品を犬や猫の舌下に投与したら、それをすごく嫌がるか、すごく気に入るかのどちらかですが、いずれにしても飲み込んでしまう。どちらにしろ舌下に長く溜めておくのは無理です。

参加者からのコメント:CBD の外用薬は外傷やがん性の腫瘍に使われていて、私の顧客からはとても良い結果のデータが得られています——肥満細胞腫でさえも。これはヘンプ由来の外用薬での話です。サルコイドーシスの馬の写真を持っていますが、CBD の外用薬やオイルを寄付してもらって使ったところ、腫瘍が乾燥して治癒したんです——少しずつ塊が馬の耳から剥がれ始めて。

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ゲリー・リヒター:すごいですね。

質問:大麻を使う際、犬と猫では違いがありますか?

ゲリー・リヒター:犬と猫に大麻を使う場合、大きな違いが一つあって、犬は THC に対して静的運動失調という特殊な反応を起こすんです——これは猫には起こりません。理由はわかりませんが、犬の脳幹には非常に多くの CB1 受容体が発現してしていて、これは人間や猫より多いんです。とは言え、猫も THC に酔うことはありますが、犬とは違った形で表れます。でも私は大麻を猫に使って良い結果をたくさん見ていますよ。猫にはよく効くと思いますね。適切な形状の製品を使えば——たとえば液体のものを使う場合、濃度が高いですからほんの1滴か2滴でいい。私はそれが非常に効果的なのを見ていますし、容認性も非常に高いです。

動物のための医療大麻と Veterinary Cannabis Society について、より詳しくはこちらを参照してください。


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