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マーク・A・シャルドン博士は有機化学の分野で著名な天然物化学の専門家であり、アメリカで 37件の特許を持ち、査読を経て学術誌に掲載された論文は 17本にのぼります。1994年から 2013年まで、デュポン・セントラル・リサーチ・アンド・デベロップメントの主任研究員を務めたほか、創立メンバーであるアメリカ化学会(ACS)大麻化学部門からは 2018年に、CANN-CHAS Heidolph Award for Excellence in Cannabis Chemistry を受賞しています。BetterChem Consulting の創業者兼代表として、世界各国で化学、食品、植物のエッセンシャルオイル、大麻の各業界を対象としたコンサルティングサービスを提供しています。顧客である大麻およびヘンプの加工施設に対しては、ライセンス取得、施設の設計と建設、機器類の設置と最適化、オイル抽出についてのアドバイスを行っています。

Project CBD:トロントで行われたインターナショナル・カンナビノイド・リサーチ・ソサエティの学術会議(2023年6月)で博士がアリン・ハウレット博士と一緒に行ったプレゼンテーションは、CBD から Δ8-THC や「その他多数の、薬理学的特性や安全性が不明の THC 異性体」への変換に関するものでした。異性体とは何か、新種の THC 異性体についての情報が欠如していることの何が問題なのか、ご説明いただけますか?

シャルドン博士:異性体というのは、同じ原子を持ち、その配列が微妙に異なっていて、似てはいるけれども化学的・物理的な特性が異なる分子のことです。酸性触媒によって CBD を変換することで作られる Δ8-THC は、精製されていない反応混合物であり、Δ8-iso-THC や Δ4(8)-iso-THC その他、さまざまな非天然の THC 異性体が含まれています。これらの異性体は大麻草には含まれておらず、化学変換によってのみ生成され、それが人体に与える影響はわかっていません。しかも、こうした非天然の THC 異性体は測量が難しく、またその反応混合物から Δ8-THC のみを分離するのも、仮に不可能ではないとしても非常に困難です。生成された異性体副産物の純度を知るためには非常に高度な分析手法を使う必要があり、したがって、ヘンプ由来のカンナビノイド製品の製造は、API(医薬品有効成分)の合成と製造に関する FDA による適切な規制の下に行われるべきなのです。

Project CBD:CBD がΔ8-THC に変換される際にできる THC 異性体以外の副産物で懸念すべきものはありますか?

シャルドン博士:THC のイソ異性体に加えて、変換反応でできる、位置異性体と呼ばれる異常な異性体もあります。最近になって、オリベトールや塩素化合物といった分解生成物が、検査した市販のΔ8-THC 製品の中から見つかっています。ヘンプ由来の CBD から Δ8-THC や HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)などの合成化合物への変換は、州政府が運用する大麻制度においては義務付けられている、工程の標準化、製品規格、第三者による正確な検査などを確実にするための適切な規制のないところで行われています。

Project CBD:「Δ8-THC のプリロール」という製品の広告を見てどんなことが頭に浮かびますか? 大麻草は実際には、そのプリロールに含まれる Δ8-THC は生成しないわけですよね?

シャルドン博士:その製品は、バッズやジョイント全体に Δ8-THC を吹き付けたり Δ8-THC に浸けたりしたものなのか? どれくらいの量の Δ8-THC がプリロールに混ぜられたのか? 溶剤は使ったか? 使ったとしたら、それは植物性カンナビノイドやテルペンを溶かしてしまわないか? バッズに加えられた Δ8-THC の純度は? Δ8-THC のプリロールを作るのは、本物の大麻のプリロールを作るのと比べてどれくらい安価なのか? Δ8-THC 製品の製造者はどれくらい儲かっているのか?

こうした非天然の THC 異性体は測量が難しく、またその反応混合物から Δ8-THC のみを分離して精製するのも、仮に不可能ではないとしても非常に困難です。

Project CBD: Δ8-THC は、Δ10-THC、 Δ12-THC、 THCP、 THCO、THCX その他、規制のないまま広く普及している新世代の合成デザイナー化合物への、一種のゲートウェイドラッグとなっています。問われているのは、大麻草から採れる Δ9-THC 以外の、強力な陶酔作用を持つカンナビノイドです。こうした化合物は実際にヘンプから作れるのでしょうか?

シャルドン博士:ヘンプ由来の CBD から合成できるのは、Δ8-、Δ9-、そして Δ10-THC だけです。それ以外はすべて、化学変換によって生成されます。FDA あるいは州政府が管理運用する大麻制度の規制の届かないところで精神作用のある製品を製造・販売するのは倫理に悖ります。そういう悪質ヘンプ業者は金儲けだけが目的で、プロセス化学を使って医薬品有効成分を製造し、ガレージや飛行機の収納庫や地下室や倉庫などで、ベープペン、グミ、ソーダなどの最終製品を作っています。こうした製品はインターネットやガソリンスタンドやタバコ屋で販売され、クレジットカードがあれば誰でも買えます。もちろん、Δ8-THC その他の嗜好用合成物質の市場は、大麻を禁止するという馬鹿げた状況がなければあり得ません。大麻を合法化すればこうした製品はなくなるでしょうし、このような化合物は、市場に流通することなく、本来あるべき研究室という場所に戻っていくでしょう。

Project CBD:Δ8-THC やその他の合成ドラッグについて、次のファームビルはどうなるとお考えですか?

シャルドン博士:残念ながらこの問題はファームビル(農業法)とは関係ないと思います——USDA(農務省)がヘンプについて管轄するのは収穫までですからね。ヘンプ由来 CBD 製品の監督は FDA がすべきなんです。FDA は、大麻/ヘンプを適切に管理するためにはこれまでとは違う方法が必要であることを認識していますが、この問題を解決するための規制戦略を取れずにいます。次のファームビルでは、Δ9-THC を豊富に含む大麻と産業用ヘンプを、明確かつ簡潔に区別すべきです。濃縮された、陶酔作用のある合成カンナビノイドを野放図に販売することを可能にしている、THCA を含むヘンプという大きな抜け穴をきっぱりと閉じるように、ファームビルは修正されなければなりません。精神作用のあるカンナビノイドを売りたければ、栽培農家や加工製造業者はそのための州の認可を得るべきなのです。


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