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近年、獣医学は格段の進歩を見せ、効果のある薬も増えたおかげで、以前と比べてずっと長生きするペットが多くなりました。けれども、歳を取るとともに、ペットにも関節炎その他、疼痛や炎症を伴う病気が起きてきます。一般的に痛みの緩和のために使われる従来の薬には、免疫機能、消化管、肝臓、膵臓などに副作用が出ることがあります。しかも、必ずしも効くとは限りません。これは人間もペットも同じです。1

人間および動物を対象とした医療における大麻の効用はたくさんありますが、中でもおそらく最も豊富な裏付けがあるのが痛みをやわらげる作用です。臨床試験の結果、さまざまな疾患に伴う痛みの緩和に大麻が非常に効果的であることがわかっています。THCCBD を含む抽出液は、進行がんに伴う痛み2 や神経性疼痛3 をやわらげるのです。

犬の関節炎に対する医療大麻の効果を検証する研究も行われています。コーネル大学が行った最近の研究では、CBD を与えると、偽薬と比べて関節炎を患う犬の疼痛スコアが低減し、副作用もありませんでした。4 実際に多くの獣医やペットオーナーが、関節炎や他の病気の痛みを抱える動物の治療に医療大麻が効くのを目の当たりにしています。研究の結果は、私たちの多くが体験していることを実証したに過ぎないのです。

ペットのための医療大麻にはどんな製剤があるか

ペットのための医療大麻は、液状のオイル、またはおやつの形をしたものが多いでしょう。液体のものの方が用量を正確にコントロールできますし、CBD は消化管を経由するよりも口腔内の細胞組織からの方が吸収率が良いので、お勧めです。

大麻の煙や蒸気は決してペットには吸わせないでください。肺を傷めますし、誤って過剰摂取させたりする危険があります。

同様に、人間用のエディブル製品はペットに食べさせてはいけません。正確な用量を計れませんし、レーズンやチョコレートなど、動物にとっては毒になる材料が入っているかもしれないからです。

正しい製品の選び方

ペットの痛みや炎症の治療に医療大麻を使うことを考えているなら、製品に含まれるさまざまな成分がどのように作用するかを理解することが重要です。念頭に置くべき点をいくつか挙げましょう。5

  • アントラージュ効果:全草抽出の製品に含まれる、各種カンナビノイド、テルペン、フラボノイドなどの量と比率にしたがって生まれる相乗効果のことです。それによって、生物活性の程度や適応疾患の幅が決まります。
  • 治療の効果を上げるためには、THCとCBDの比率と用量が適切であることが非常に重要です。
  • 同時に投与している薬との薬物間相互作用はないか調べましょう。
  • 新しい薬やサプリメントをあなたのペットに与える前に、必ず獣医に相談しましょう。

THCCBD の比率は、20:1 から 1:1 のもの、1:20 のものまでさまざまです。痛みや炎症のあるペットにどういう製品を与えるかは、痛みの程度やその原因によって違います。以下は、動物の痛みや炎症の治療に使う比率の選び方です。

CBD の比率が高い、あるいはヘンプ由来の CBD の場合

  • CBDTHCの比率が 4:1 から 20:1 のもの。ヘンプ由来の場合は、THC の含有量がごくわずか、あるいはゼロのもの
  • 関節炎や腰痛など、比較的軽い痛みに効きます。

同量

  • CBDTHC の比率が 1:1
  • 関節炎や腰痛など、中程度の痛みに効きます。

THCの比率が高いもの

  • THCCBD の比率が 4:1 から 20:1 のもの
  • がん、神経痛、重度の関節炎などの激しい痛みに効きます。

医療大麻をペットのために使う際に忘れてはならないのは、強い副作用はどんなものであろうと決してあってはならないということです。犬や猫がハイになるのは、それが医療用であっても許されません。医療大麻をペットに使う目的は、副作用なしに症状を緩和するということです。普段の行動が変化するようなことはあってはなりません。

ペットのための用量ガイド

以下は、犬や猫にTHCとCBDを与える際の用量の目安です。医療大麻をあなたのペットに与える前に、必ず獣医に相談しましょう。

THCの用量

  • THC が入っていると、用量が制限されます。
  • 体重 10ポンド(4.5キログラム)につき 0.2〜0.6 ミリグラムを一日2回与えます。
  • 少量から始めて、4〜7日ごとに少しずつ増やしていきます。
  • 場合によっては、もっと高用量を与えてもよい、あるいは与える必要があることもあります。
  • 鎮静作用、平衡感覚障害、知能障害などが出ていないかしっかり見守ってください。このような副作用が少しでもあれば用量を減らすか、直ちに治療を中止します。

CBDの用量

  • 体重 10ポンド(4.5キログラム)につき 0.5〜5 ミリグラムを一日2回与えます。
  • 少量から始めて、4〜7日ごとに少しずつ増やしていきます。
  • 上記用量範囲の最低量に近い量を、回数を増やして与えても効果的です。
  • 上記用量範囲以上の CBD も、状況によっては効果があります。

痛みのある動物には、医療大麻が大変役に立つ場合があります。ただし最終的には、安全で効果的に大麻を使うためには、THCCBD(とその他のカンナビノイド)が何ミリグラム含まれているか、またそれらの比率を理解している必要がありますし、ペットに適切な量を与えられる濃度の製品が手に入ることが必要です。

何よりも大切なのはあなたのペットが安全であることです。ですから、与える製品の成分や用量については、勘に頼ったり推測で決めたりしてはいけません。


Project CBD の寄稿者ゲリー・リヒター(Gary Richter)は、オークランドで開業する獣医。ペットの疾患を医療大麻で治すための実践的な方法についての記事も書いている。


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脚注

  1. Veterinary-specific research into cannabis as medicine is in its earliest stages. Much of the foundation for the use of cannabis in animals is based on studies in laboratory models and in humans along with anecdotal evidence to support efficacy. While this may be a tempting leverage point for those who wish to stop or slow the use of cannabis in veterinary medicine, consider how many veterinary drugs and treatment protocols have their beginnings in laboratory models or human studies. There is no shortage of research data demonstrating the efficacy of cannabis for a host of disease conditions, including pain and inflammation.
  2. Johnson, J. R., Burnell-Nugent, M., Lossignol, D., Ganae-Motan, E. D., Potts, R., & Fallon, M. T. (2010). Multicenter, Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled, Parallel-Group Study of the Efficacy, Safety, and Tolerability of THC:CBD Extract and THC Extract in Patients with Intractable Cancer-Related Pain. Journal of Pain and Symptom Management,39(2), 167-179. doi:10.1016/j.jpainsymman.2009.06.008
  3. Weizman, L., Dayan, L., Brill, S., Nahman-Averbuch, H., Hendler, T., Jacob, G., & Sharon, H. (2018). Cannabis analgesia in chronic neuropathic pain is associated with altered brain connectivity. Neurology,91(14). doi:10.1212/wnl.0000000000006293
  4. Gamble, L., Boesch, J. M., Frye, C. W., Schwark, W. S., Mann, S., Wolfe, L., … Wakshlag, J. J. (2018). Pharmacokinetics, Safety, and Clinical Efficacy of Cannabidiol Treatment in Osteoarthritic Dogs. Frontiers in Veterinary Science,5. doi:10.3389/fvets.2018.00165
  5. Russo EB. Taming THC: potential cannabis synergy and phytocannabinoid-terpenoid entourage effects. British Journal of Pharmacology. 2011;163(7):1344-1364. doi:10.1111/j.1476-5381.2011.01238.x.

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