カンナビジオール(CBD)は驚くほど安全な薬です。現在、CBDの安全性に関する最も大きな懸念と言えば、CBD を高用量で摂った場合に他の医薬品の代謝を変化させる可能性があるという点です。つまり、CBD は他の医薬品の毒性を高める可能性があるということです。この点は特にてんかんの治療において注目されています—抗てんかん薬の過剰摂取は非常に危険だからです。
アメリカで手に入る医薬品としての CBD の唯一の製造者である GW 製薬が近頃、成人が高用量(1500 mg/day)の純粋な CBD と抗てんかん薬を併用した場合どのような相互作用があるかについての研究結果を発表しました。それによれば、CBD はクロバザムの活性代謝物への暴露を3倍に増加させました。スチリペントール(商品名ディアコミット)への暴露はわずかに(最大25%)増加し、バルプロエート(バルプロ酸)については変化は見られませんでした。
GW 製薬の研究者らはまた、その逆も検証しました。つまり、これら3つの抗てんかん薬が、体内での CBD 代謝にどのような影響を与えるか、ということです。その結果、クロバザムは CBD およびその代謝産物を 20〜30% 増加させました(CBD の代謝産物には、それ自体に抗てんかん作用がある可能性があります)。一方スチリペントールは CBD への暴露を 20〜30% 減少させました。つまりこれは、スチリペントールを摂ることで体の CBD 代謝の速度が高まったということを示唆しています。バルプロエートは、少なくとも代謝的には CBD との相互作用はない模様でした。この結果は、非常な高用量でも、CBD と抗てんかん薬の併用は安全であるということを裏付けています。
この研究の結果はまた、てんかん治療において CBD が、最後の手段としてではなく、治療の第一選択肢にもなり得る可能性を裏付けています。CBD を治療に使っている患者に新しい医薬品を追加しても、CBD の分解にはわずかな、あるいは無視できる程度の変化しか起こりません。このデータは、CBD による治療に別の薬を加えても安全であるということです。以前の研究と同様、CBD が最も大きく影響するのはクロバザムのようですが、それでもこの二つは安全かつ効果的に併用が可能です。CBD とバルプロエートについては相互作用があり、それが肝機能障害の原因となる懸念は残ります。この研究では肝機能障害を起こした患者はいませんでしたが、バルプロエートと CBD を併用している患者は、肝酵素値を注意深く監視する必要があります。
最後に、薬物相互作用の指標となるのは代謝作用だけではないという点も重要です。この研究では、各治療グループについて副作用の発生率を検証しています。それぞれのグループには被験者が 10〜15人しかいませんから、この結果はあくまでも決定的な結論としてではなく、今後の研究で解明すべき点として捉えるべきです。被験者全体の 10% には発疹があり、6% の患者はそれが重篤であったため研究から離脱しています。