本当に質が良いブロードスペクトラムまたはフルスペクトラムの CBD 製品を探すうち、CBD カプセルのブランドの中には、ヘンプ由来製品について連邦法で定められている 0.3% という上限よりも THC の含有量が高いかもしれないものがあることがわかりました。なぜそれがわかったかと言うと、私はいくつかの製品で少々ハイになったことがあるからです。
私は 1960年代に育ち、1967年から 1979年頃までは大麻をときどき使っていました。だから昨年、CBD カプセルを4錠摂ってちょっとハイになったとき、そのカプセルには CBD だけでなく少量の THC が入っていたのだろうと思ったのです。4錠というのは推奨された用量を超えていました。でも私は、痛み止めだろうが、抗アレルギー薬だろうが、下痢止めだろうが、何でも推奨用量よりたくさん摂る癖があります。だから CBD についても同様にしたわけです。
まさか CBD でハイになろうとは思ってもいませんでした。CBD は、大麻草に含まれる精神作用のないカンナビノイドとして有名でしたし、私にありがちなことで、かなりの量の CBD をそれまで5年間摂っていましたが、ハイになったことはなかったからです。最初にうっかりハイになったのは、初めて試すブランドの製品を摂ったときでした。私が摂ったのはカプセル4錠で、全部でおそらく CBD 80 mg と、少量の THC が入っていたに違いない、と私は思いました。でも、CBD製品の市場は品質管理の規制がありませんから、正確にどれくらいの量の THC あるいはそれ以外の成分が入っているかは知りようがありませんでした。
その陶酔感は軽微なもので、継続時間も短かったのですが、それでも私は少量の THC から得られる気持ちの軽さを快く感じました。でも後になって最初に頭に浮かんだのは、疑うことを知らない CBD ユーザーや、高齢者や、これまで一度もハイになった経験のない人、CBD だけでハイになることはないと聞いていた人のことでした。ほんの少しハイになるだけでも、そしてそれがほんの短時間でも、それを不快に思う人がいるかもしれない、と心配だったのです。そういう人は、何が起こっているのか理解できず、その体験によって CBD を使うのを金輪際やめてしまうかもしれない。それはとても残念なことです。
THCのマイクロドージング
私は 1983年からバージニア州に住んでいます。ここは大麻の合法州ではなく、つい最近までは医療大麻も使用許可はなかなか出ませんでした。この辺りでハイになるというのはよくあることでも合法なことでもありませんでしたが、でも、少なくともバージニア州北部やオンラインでは CBD は簡単に手に入ります。
CBDについて勉強し、使えば使うほど、私は THC が持つ医療的価値をよりよく理解するようになりました。THCは、マイクロドージングと呼ばれる、精神作用を発揮しない程度の少量を摂取するだけでも医療効果があるのです。2017年に『Nature Medicine』に掲載された Bilkei-Gorzo らの論文は、非常に低用量の THC を高齢のマウスに与えたところ、学習、記憶、社会認識能力が、若くて健康なマウスと同程度まで回復したことを示しています。
THC のマイクロドージングはまた、細胞の可塑性、シナプス形成、細胞シグナリングに関与する分子過程を増進させ、さらに、長寿化と認知機能の改善に関連する遺伝子や、アルツハイマー病を予防すると考えられている遺伝子に良い影響を与えました。こうした改善の中には、投与後数週間にわたって効果が継続したものもありました。
「大麻製剤と THC はこれまで非常に安全に使用されており、高齢者への低用量の投与による有害な副作用は見られない」と論文は述べ、さらに「低用量の THC あるいは大麻草エキスの常用は、高齢者の認知力の低下を遅らせる、あるいは回復させる方法として可能性があるかもしれない」[1] とも書かれています。
同じく 2017年に Yusef Sarne らが『Neurobiology of Aging』誌に発表した論文は、高齢のマウスにおいて、極度に低用量の THC が加齢に伴う認知機能障害を改善させられるかどうかを調べた実験についてのものです。その結果は良好で、論文は「精神作用を引き起こさない極度な低用量の THC は、高齢の人間における認知機能の低下に対する安全で効果的な治療となり得るということを示している」と述べています [2]。
アルツハイマー病で母を亡くしている私にとって、これらの研究は特に興味深いものでした。THC のマイクロドージングが人間の疾患につながる退行変性過程を遅くする、あるいは止めることができるのならば、私はなんとしてでも THC をマイクロドージングするつもりでした。そして嬉しいことに、私の住む非合法州でも、また医療大麻患者カードがない人でも、望む人、必要な人は誰もが、ごく少量の THC を含む高 CBD 製品を使うことはでき、将来的な認識障害や神経変性疾患を防げるかもしれないのです。
CBDとTHC:一緒の方が効果的
THC と CBD を日常的にサプリメントとして使うべき理由はたくさんあります。この二つは一緒に使った方がより効果的ですし、その他のカンナビノイドやテルペンと一緒に使えば、いわゆるアントラージュ効果でさらに効果が高まります。イスラエルの研究チームは 1999年にこう述べています——「この種の相乗効果は、場合によっては植物全草の方が、そこから単離された天然製品よりも薬として効果がある、という、広く一般に受け入れられた(ただし実験による裏付けはない)認識の一因となっている可能性がある」[3]
それから 10年後、サンフランシスコにあるカリフォルニア・パシフィック・メディカルセンター研究所のショーン・マカリスター(Sean McAllister)博士らは、人間の脳腫瘍と乳がんの細胞株に THC と CBD が与える相乗効果について研究を行っています。[4]
さまざまなカンナビノイドの抗がん作用を調べた後、マカリスター博士らは、CBD が「侵襲性の高い数種類のがんに対する抗がん作用が最も強かった」と結論しています。ただし、CBD に THC を組み合わせたところ、「実際に、CBD の抗がん作用がさらに高まった」と、研究結果についての YouTube 動画の中でマカリスター博士は述べています。[5]
博士はさらに続けて、侵襲性の高い脳腫瘍細胞の培養皿に CBD と THC を一緒に加えたところ、「こうした侵襲性の高い脳腫瘍細胞の成長を阻害するだけでなく、プログラム細胞死を引き起こす THC の作用にも相乗的な改善が見られた」と説明しています。後者は、腫瘍が再び大きくなれないよう「がん細胞を殺すために非常に重要」です。
ブラジルの研究者 FA Pamplona 博士らが、高 CBD の大麻草全草からの抽出物(少量の THC を含む)と精製された CBD アイソレートがてんかんの治療に与える効果を比較した 2018年のメタ分析の結果もまた、アントラージュ効果という概念を支持しています。アイソレートと全草抽出物はどちらも、他の薬が奏効しない発作障害に対して特筆すべき効果がありましたが、全草抽出物の方が効果はより優れていました。「高 CBD の大麻草の抽出物は、少なくともこの難治性てんかんの集団においては、精製された CBD よりも優れた治療効果を発揮した」と論文は結論しています。[6]
ハイになることの恩恵
CBD、あるいは THC を使いたい、でもハイになるのが心配、という人は、医療大麻、オステオパシー、そして心と体のヒーリングにフォーカスした統合医であるダスティン・スラック(Dustin Sulak)の言葉に安心するかもしれません。スラック氏は、メーン州とマサチューセッツ州で統合医療クリニック Integr8 を開業しており、8,000人以上の医療大麻患者を診察しています。healer.com という教育用のプラットフォームには、患者と医師のために役立つ情報が満載です。
スラック氏は 2019年に、大麻研究と医療大麻に関する新しい展開の発表の場である年に一度の CannMed カンファレンスで講演し、大麻の使用に伴う副作用と、ハイになることから得られる恩恵について述べています。
副作用については、記憶障害、意識の混乱、不安、妄想、協調運動障害、めまい、倦怠感などを挙げ、「私が診ている患者に見られる副作用はこのようなもので、多くの場合は THC の摂り過ぎが原因ですが、心構えと周囲の状況もその要因」であると述べています。いずれもその人の大麻に対する反応に影響を与える要素です。
では、大麻の精神作用がもたらす恩恵とは何でしょうか?
「まず、多幸感があります」と彼は言います。
科学的な論文の多くは大麻がもたらす多幸感について、望ましくない副作用として否定的に言及していますが、これは病気に苦しむ患者にとっては非常に重要なものです。それは「前向きな気持ち、リラックスすること、笑い、人との交流、時間の感覚が変化して今この瞬間に集中できるようになること」を意味する、とスラック氏は言います。「さらには、ごくありきたりな経験が強化され、これは『セイバリング(savoring)』と呼ばれるマインドフルネスの実践にも使えます」
スラック氏はセイバリングを、喜びを感じることができない無快感症の解毒剤であると言います。氏の説明によれば、無快感症は「うつ病や、特にオピオイド薬使用障害など、日常の自然な出来事で、本来喜びを感じられるべきことから喜びを得られなくなる大きな原因」であり、その結果患者は一時的にでもより強い快感を感じられるものを求め、それが「負のスパイラル」となって、ただ普通の感覚を保つために薬物を使用しなくてはならなくなるのです。
大麻、とりわけ THC には、この悪循環を断つ力がある、とスラック氏は講演で述べています。
「セイバリングのプロセスをサポートする、という意図を持って大麻を使用すると、食べる、音楽を聴く、セックスする、人と会話する、散歩する、花の香りを嗅ぐ、といった、普段の生活における健康的な活動から得られる自然な喜びを取り戻すことができます」。このように大麻を使うことで、患者は自分の痛みを、良いこと、喜び、自分にとって大事な人々から切り離すことができるようになるのです。
スラック氏は言います。「この分離こそ、大麻がもたらしてくれるかけがえのない贈り物なのです」
シェリル・ペレリン(Cheryl Pellerin)は科学ジャーナリズムに特化したライターであり、著書『Healing With Cannabis: The Evolution of the Endocannabinoid System and How Cannabinoids Help Relieve PTSD, Pain, MS, Anxiety, and More』(Skyhouse Publishing刊)には医師ジェフリー・ハーゲンラザー(Jeffrey Y. Hergenrather)氏が序文を寄せている。処女作『Trips: How Hallucinogens Work in Your Brain』はフランス語とドイツ語に翻訳されている。
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参照文献
- Bilkei-Gorzo A, O Albayram, A Draffehn, K Michel, A Piyanova, H Oppenheimer, M Dvir-Ginzberg, I Rácz, T Ulas, S Imbeault, I Bab, JL Schultze, A Zimmer. “A chronic low dose of Δ9-tetrahydrocannabinol (THC) restores cognitive function in old mice.” Nat Med 2017 June;23(6):782–787 (doi: 10.1038/nm.4311).
- Sarne Y. R Toledano, L Rachmany, E Sasson, R Doron. “Reversal of age-related cognitive impairments in mice by an extremely low dose of tetrahydrocannabinol.” Neurobiol Aging 2017 Sept;61:177–86 (doi: 10.1016/j.neurobiolaging.2017.09.025).
- Mechoulam R, S Ben-Shabat. (1999). From gan-zi-gun-nu to anandamide and 2-arachidonoylglycerol: the ongoing story of cannabis. Nat Prod Rep 16;131–143. (doi: 10.1039/a703973e).
- McAllister SD, Soroceanu L, Desprez PY. The Antitumor Activity of Plant-Derived Non-Psychoactive Cannabinoids. J Neuroimmune Pharmacol 2015;10(2):255-267 (doi:10.1007/s11481-015-9608-y).
- McAllister SD, YouTube, March 2015. https://www.youtube.com/watch?v=2p8annrQ9vM, accessed 07/03/2020.
- Pamplona FA, LR da Silva, AC Coan. “Potential clinical benefits of CBD-rich cannabis extracts over purified CBD in treatment-resistant epilepsy: Observational data meta-analysis.” Front Neurol 2018;9:759 (doi: 10.3389/fneur.2018.00759).