PART 1: 見えないところで
19歳のその青年は自宅で意識を失い、救急病棟に担ぎ込まれました。息ができず、明らかに呼吸器不全に陥っています。医師が青年の口元に出血を認めるものの、その原因と思わしきものは見当たりません——感染も、外傷も、他の器官の損傷も見られないのです。問題があるのは肺だけでしだ。医師が診断と治療を試みる間、若者には約 60 時間にわたって人工呼吸器が装着されました。
幸運にもこの青年は、医師らの機敏な対応によって一命を取りとめました。
「胸部 CT スキャン画像にすりガラス状陰影が認められる」と症例報告にはあります。医師はこれをびまん性肺胞出血と診断しました。つまり、血管が破れて肺の一部に血液が溜まり、酸素交換ができなくなった状態です。
呼吸器不全であわや生命を落としかけたこの患者の症例は、検出が非常に難しくエンドカンナビノイド・システムに強力に作用する研究用化学物質の一群である合成カンナビノイド(SCB)の吸入による有害事象として 2011年に報告されています 1。これは、合成カンナビノイド が呼吸器不全の原因となる可能性を示す、現在までの一連の症例報告の最初のものでした。
2019年の夏、合成カンナビノイドの毒性を示す可能性のある同様の症例——すりガラス状陰影、血管破裂、肺に水が溜まることによる酸素欠乏——がたびたび報告され、疾病対策センター(CDC)はこれを「べーピングに関連した肺障害の大流行」と呼びました。7月になるとさらに頻繁に症例が見られるようになります。このベーピング危機に関する最新情報を毎週アップデートしている CDC によれば、11月 8日の時点で入院患者は 2000名を超え、39名がべーピングに伴う肺不全で亡くなっています 2。
今のところ CDC は、ベポライザーまたは電子タバコ機器を使用している、ということ以外にこれらすべての症例に共通する要因を特定できていません。報告された症例では、患者はニコチンの電子タバコの他、THC(テトラヒドロカンナビノール)オイルまたは CBD(カンナビジオール)オイルをべーピングしています。特に怪しいのは闇市場に出回っている THC ベープカートリッジですが、合法的に販売されている大麻オイルやニコチンのみのベープ製品も関係しています。
合成カンナビノイドの有毒性が引き起こす症状と、現在大きな話題になっているべーピング危機で最も目立つ症状が合致しているにもかかわらず、不思議なことに CDC は、毎週の報告の中で合成カンナビノイドについては言及していません。流行が始まって以降、保健当局は原因について複数の可能性に注目しています——たとえば人工香味料、ビタミンE、高分子低粘稠化剤、ベポライザーの加熱コイルから浸出する金属などです。ところが、ベープ用オイルに合成カンナビノイドが含まれているという可能性には気づいていないのです。3,4,5
Project CBD は、合成カンナビノイドについては真剣に注視する必要があると考えています。
べーピング関連肺障害と判断する CDC の基準
一歩下戻って状況を整理しましょう。CDC によれば、ある症例が現在流行中の肺障害の一例であると判断されるのは、患者が深刻な呼吸困難の他に次のような条件に当てはまる場合です。
- 症状を発症する前の 90日間のどこかでべーピングあるいはダビングを行っており、
- 胸部スキャンで肺浸潤が認められ(CTスキャンでは通常すりガラス状陰影として表れる)、かつ
- 呼吸困難を引き起こすような、感染その他の原因が見当たらない。
3番めの条件を満たさない場合、それは「確定」症例ではなく「その可能性がある」症例と分類されます。6
CDC はかなり広範な症例をべーピング関連肺障害として認めているので、その原因となる要因もさまざまでしょう。今回の流行では、多様な種類の肺疾患が報告されています。たとえば、リポイド肺炎、急性好酸球性肺炎、肺胞損傷、びまん性肺胞出血などが挙げられます。
合成カンナビノイドがリポイド肺炎を引き起こしたという症例はありません。しかし、肺胞出血に関しては合成カンナビノイドが原因である可能性を検討する必要があります。合成カンナビノイドはまた、急性好酸球性肺炎や、神経障害あるいは認識機能障害の併発にも関与している可能性があります。
さまざまな毒物の組み合わせ
増粘剤である酢酸ビタミンEの吸入はリポイド肺炎の原因になることがあり、これは最近報告されている症例の一部にも当てはまるかもしれません。7 ただし他の患者では肺に脂質の蓄積は見られないので、8 これが問題の唯一の原因とは言えません。留意すべきは、ビタミンEが、加熱して吸入された場合の安全性に関する明らかなエビデンスが欠如しているにもかかわらず、ほとんどのベーピング製品において合法であるという点です。 ビタミンEは、FDA が「一般に安全と認められる」食品(GRAS)として認めており、そのことが、吸入しても同様に安全であるという根拠のない印象を生み出しています。
プロピレン・グリコールやポリエチレン・グリコールといった希釈剤は、高温に加熱すると発がん性があります 9,10。ただし、希釈剤は 2007 年頃からニコチン電子タバコに使われているにもかかわらず、急性呼吸窮迫を引き起こしたという報告はありません。希釈剤の長期的な使用がもたらし得る有害な影響は、すでに有害性が実証されているニコチンの陰に隠れてしまっているのです。11
香料添加剤が問題である理由の一つは、それによって消費者がより製品に依存しやすくなり、また製品が子どもにとって魅力的なものになることです。香料添加剤の中には、たとえばポップコーン肺(閉塞性細気管支炎)といった肺疾患と関連付けられているものがあります。12 これらもまたべーピング製品に使うのは合法ですが、加熱して吸入した際の安全性を裏付けるデータはありません。
希釈剤や香料添加剤が今回の べーピングに関連した肺障害の大流行の原因であることを示すエビデンスはほとんどありません。こうした怪しい添加物が肺障害流行の犯人とは思いませんが、かと言って、それらを安全と考えるべきではありませんし、現行の規制が消費者保護の観点から十分であるとは言えません。
そこで合成カンナビノイドの話になります。
合成カンナビノイドによって呼吸困難に陥り緊急治療室に運ばれることになりかねないということは、多数の症例が示しています。情報によれば、合成カンナビノイドが混入した製品が、きちんとした管理体制のない CBD 製品のオンライン市場や THC ベイプ製品の闇市場に出回っています。 13,14,15,16,17 こうしたことが明らかになっているにもかかわらず、現在起こっている肺障害の流行に関する報道では通常、合成カンナビノイドについては議論されません。18 さらに、アメリカの合法市場で、大麻製品や CBD 製品に合成カンナビノイドが含まれていないことを証明するテストが義務付けられているところはありません。
べーピングに関連した肺障害の流行に合成カンナビノイドがどのように関係しているかを明らかにするためには、合成カンナビノイドの複雑な薬理作用と、THC をはじめとする天然の植物性カンナビノイドとの根源的な違いを理解することが重要です。
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PART 2: 合成カンナビノイドとは何か?
合成カンナビノイドとは、研究のために作られた化学化合物で、エンドカンナビノイド・システムに作用するように設計されています。その中で JWH-018 は、2000年代の半ば、合成カチノン(バスソルトと呼ばれることもあります)のような「デザイナードラッグ」とともに乱用薬物として世間を賑わせた初めての合成カンナビノイドでした。20
合成カンナビノイドは、大麻やその他のハーブに直接スプレーされ、「ボンサイ」「K2」「スパイス」「ハーバル・インセンス」「アルマゲドン」「エージェント・オレンジ」等の名前で販売されます。そうした製品には、1種類から数種類の活性化合物が含まれています。合成カンナビノイド製品の一部は、粉末あるいは濃縮オイルをプロピレン・グリコールに懸濁させた形で売られています。
含まれている可能性がある数百種類もの合成カンナビノイドを一度のテストで検出するのは不可能に近く、しかも新しい合成カンナビノイドが年々製造されています。それぞれの合成カンナビノイドは効能の強さが異なるので、種類が多ければ、ユーザーにとってはそれだけ用量を決めるのが難しくなります。「標準的な」一回の用量を割り出せなければ、過剰摂取する可能性は高くなります。
合成カンナビノイドの過剰摂取がもたらす症状は一様ではなく、救急治療室に運ばれた患者を診る医師や看護師にはほとんどの場合、どのように処置すべきかについての経験も手引もありません。2016年から 2018年にかけて、合成カンナビノイドのうち、AMB-FUBINACA と 5F-ADB と呼ばれる2種類が関与する症例が多数報告されました。それはこの2つが特に普及しているからなのか、あるいはそれらが特に危険なものだからなのかはわかりません。
合成カンナビノイドと肺
合成カンナビノイドはさまざまな健康被害を引き起こし、ときには死につながることが報告されています。びまん性肺胞出血や急性呼吸不全、心臓発作、脳卒中、けいれん、腎障害などはいずれも、合成カンナビノイドが引き起こす可能性のある症状です。
2016年に「ニューヨーク市にゾンビが大量発生」という見出しで報道された事件は、主に合成カンナビノイド AMB-FUBINACA によるものとされています 21, 22。 2017年と 2018年にニュージーランドで起こった 50件の死亡も同様です 23。 合成カンナビノイドを使用する人は比較的に少数なので、死亡例の総数は少ないですが、合成カンナビノイドが非常に危険な薬物であることはたしかです。
合成カンナビノイドと肺へのダメージを結びつけた症例報告はいくつかあります。合成カンナビノイドが起こし得る他の損傷と比べれば、肺へのダメージはそれほど大きなリスクではありませんが、近年のベープ関連肺障害の流行中に疾病対策センターが「ベープによるものであることが確かな症例」と判断したケースとかなり一致した一連の症状があります。
合成カンナビノイドを過剰摂取して ICU に入院した症例を分析したワシントン DC の MedStar の医師は、合成カンナビノイド使用に関連した症状として最も多かったのは肺水腫24 と頻脈であり、臓器不全は「主として神経学的状態の変化と呼吸器不全によるもの」であるとし25、さらに「合成カンナビノイドが急性肺障害と急性呼吸窮迫症候群の原因である可能性」を示唆しています。
合成カンナビノイドによって引き起こされる呼吸障害には、概して次のような特徴があります:
- 合成カンナビノイドを1〜3か月間使用していた
- 肺の状態が突然(使用後1時間以内)、あるいは使用後数日以内に悪くなった
- 血中酸素が低下し、重篤な状態で病院に収容された
- 生命を取りとめた患者は最長1週間挿管されていた
- 肺水腫と診断され、CT スキャンの画像にはすりガラス状の影があった
- 短期的にはコルチコステロイド治療が奏功した
- 肺水腫が解消し、肺の炎症は治まることが多かった
合成カンナビノイドは呼吸不全を引き起こす
意図的に合成カンナビノイドを使用した後に呼吸不全を起こしたという症例報告は多数あります。それらの多くは、疾病対策センターがベーピング関連の疾患に分類されるものであることを確定した症例と症状が合致しています。
最初の報告は 2011年のもので、その後複数の症例報告が続いています。
- Loschner et al (2011): Greenhouse Effect と呼ばれる合成カンナビノイドを喫煙した 19歳が救急病棟に入院。彼はそれまで2か月間合成カンナビノイドを使用していた。胸部X線写真にはすりガラス陰影と肺胞浸潤が映っていた。医師は感染が原因である可能性を排除し、びまん性肺胞出血と診断した。患者は 60時間にわたって人工呼吸器を必要とし、メチルプレドニゾロンの投与を受けた。26
- Alhadi et al (2013): 合成カンナビノイドを使って間もない 21歳の男性が「気道と肺胞腔の両方に慢性的な炎症性浸潤」があり入院。論文の著者らは、合成カンナビノイドが「独特かつ急速に消失する肺病変」を引き起こし、コルチコステロイドによる治療が奏功したことを強調している。27
- Berkowitz et al (2015): 4人の若者における「合成カンナビノイドの喫煙による肺炎」についての論文。4人はいずれも生物学的スクリーニングの結果は問題がなく、感染の可能性は排除された。4人中3人にはステロイドが投与された。CT スキャンの画像には4人ともにすりガラス陰影が認められた。28
- Öcal et al (2016): 急性好酸球性肺炎と診断された21歳の男性の症例。CT スキャンで「すりガラス陰影が見られる部位が異常で、下葉の中央部にあるように見える」。感染性疾患が原因である可能性は排除された。患者は入院前の1か月間合成カンナビノイドを使用し、前週には使用量が増していたことを認めた。プレドニゾロンによる3日間の治療で CT スキャンの異常はほぼ消失した。29
- Chinnadurai (2016): K2 を喫煙した後に救急治療室に運び込まれた 29歳の男性。CT スキャンでは Berkowitz らの症例と同様の症状が認められたが、24時間以内に自然治癒した。救急治療室に連れてこられたのは興奮状態だったためだがロラゼパムとハロペリドールで落ち着き、入院したのは肺の症状が続いたからではなく発熱があったため。30
- Yamanoglu et al (2018): 通常の2倍の用量の合成カンナビノイドを喫煙した 19歳男性。救急治療室に着いた1時間後に昏睡状態に陥った。CT スキャンによれば肺水腫の疑いがあり、典型的な、「他の病変では説明できない、まだらなすりガラス陰影が見られた」。31
- Imtiaz et al (2019): K2 喫煙の1時間後に呼吸不全を起こした類似症例の報告の中で、著者らは、「それ以外の疾病である可能性が排除された場合には、吸入後 24〜48時間で急性の喀血32 と呼吸不全が起きることによって、合成カンナビノイドに起因する呼吸不全という診断を確定できるものと考える」と述べている。33
これらの症例報告はすべて、現在流行中のベーピング関連肺障害の事例であることが「確定できる」あるいは「その可能性が高い」と疾病対策センターが分類する症例と合致しています。ほとんどの場合、呼吸障害はびまん性肺胞出血と関係していますが、それが実際にどのようにして起こっているかは症例によってまちまちです(使われた合成カンナビノイドの種類の違いのせいかもしれません)。
偽物の大麻、本物の危険
合成カンナビノイドに関係してはいるが疾病対策センターの分類には厳密に適合しない呼吸障害の症例報告も多数あります。
たとえば Ivanov は、数か月間にわたって合成カンナビノイドを使用していた 18歳の青年の死亡例を報告しています 34。死亡の前夜、この青年は AMB-FUBINACA が入った「偽物の大麻」のジョイントを3本喫煙しました。事後分析の結果は、急性呼吸窮迫症候群、肺水腫、そして肺炎性があったことを示していました。ただし論文には肺浸潤物は言及されておらず、疾病対策センターによるベーピング関連肺障害の基準を満たしているかどうかは不明です。
2016年のある論文には、AB-CHMINACA が電子タバコに使用されるプロピレン・グリコールに加えられることがあると書かれています35。この論文の中で著者 Gieron と Adamowicz が報告しているのは、AB-CHMINACA を使用して数時間以内に亡くなった人の例です。「死因は原因不明の急性心肺不全だった」と論文には書かれていますが、その人の肺の状態について詳細は述べていません。この合成カンナビノイドは 2014年に登場したもので、他にもいくつかの事例に関与しています。
Society of Forensic Toxicologists(法医学毒物学者協会)の 2015年度の会議では、Shanks らが、AB-CHMINACA に関連する呼吸器不全の症例を3例報告しました36。一人は解剖の結果「重篤な肺水腫とうっ血」があり、他にも肺の損傷を示す徴候がありました。別の症例では、交通事故に遭った女性の血中に AB-CHMINACA が認められ、「両側性の肺水腫とうっ血および全体的な内臓うっ血」がありました。
2019年には Adamowicz が、合成カンナビノイド使用後の肺水腫と「左胸膜癒着」について報告しています37。ただし組織学的分析ではスリガラス浸潤影も炎症性変化も認められませんでした。その2年前には Maeda のチームが、「気泡と出血を伴う重篤な肺胞滲出」による日本での死亡事例を報告していますが、合成カンナビノイドが発作を引き起こし、それが呼吸障害の原因になったとというのが著者らの意見です38。また 2012年には、合成カンナビノイドによる発作の後、呼吸障害を起こし人工呼吸器を必要としたティーンエージャーの例が報告されています39。
意図して合成カンナビノイドを使う人は、ベーピングではなく喫煙する傾向にあります。でも、合成カンナビノイドが混入したベープオイルをそれと知らずにうっかり吸入したとしても、その有毒性は合成カンナビノイドを含ませた乾燥ハーブを喫煙した場合と変わらない可能性が高いですから、ここに挙げた症例はみな、現在起きているベープ製品による問題の参考になるはずです。
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合成カンナビノイド検出の難しさ
意図しての合成カンナビノイド使用に伴う呼吸障害の症例報告に一貫性があること、非合法な大麻製品との関連、また合成カンナビノイドが混入した大麻オイル製品の存在が明らかになっていることを考えれば、ベーピング関連肺障害流行の一番の容疑者は合成カンナビノイドであると考えるべきでしょう。
しかし、さまざまな問題が合成カンナビノイドの検出を困難にしています。まず、非合法ドラッグには数百種類の化合物が含まれており、疾病対策センターに症例を報告している人がそれらすべてを検証している可能性は低いでしょう。さらに、合成カンナビノイドの多くは THC より桁違いに強力です。THC の 100倍の効力のある化学物質を検出するためには非常に低い濃度を検出しなければならず、検査ラボのほとんどは、合成カンナビノイドの検出に特化していません。
問題は他にもあります。症例報告は、合成カンナビノイドが使用後数時間で血中からなくなることを示しています40。ですから血液検査だけでは、合成カンナビノイドを使用したかどうかがわかりません。可能ならば製品をテストするのが望ましいでしょう。
合成カンナビノイドを分類する努力も行われています41。取締当局が遭遇する合成カンナビノイドの大部分は、一握りの一般的な化学骨格から構成されています。ユーザーが被害を蒙った製品を当局が手に入れることができれば、合成カンナビノイドの検出は可能なはずなのです。疾病対策センターをはじめとする政府機関は、テスト方法を統一するために毒性研究所と協力すべきです。
なぜベープオイルに合成カンナビノイドを添加するのか?
もしも合成カンナビノイドが実際にベーピング関連肺障害の流行の原因となっているのだとしたら、当然、なぜベープ製品に合成カンナビノイドを混入させるのか、という疑問が浮かびます。それが特に非合法の製品に多いのはなぜなのでしょう? その責任の一端は公共政策にあるのでしょうか?
合成カンナビノイドは安価に製造でき、標準的な薬物検査には引っかかりません。理論的には、製造者はベースとなる大麻オイルを大々的に希釈して利幅を伸ばし、その後合成カンナビノイドを加えることで「効力」を高めることができます。その過程で希釈剤も登場します——合成カンナビノイドと希釈剤の組み合わせは、ベーピング関連肺障害に関連するさまざまな製品から一貫して検出されています。
闇市場・合法市場で販売される THC 製品と同様に、ニコチン入りベープ製品もまた嫌疑がかけられています。合法市場で販売される THC ベープ製品には合成カンナビノイドのテストは義務付けられていませんから、合成カンナビノイドは合法市場と非合法市場のどちらにも入り込むことができます。ただし、合成カンナビノイドを混入させるたちの悪い業者というのは、税金と品質管理義務から逃れるために闇市場で商売をしている可能性が高いでしょう。現在報告されているベーピング関連肺障害症例の約 80% は THC 製品(そのほとんどが非合法製品)の使用、60% が電子タバコの使用によるものです。ほとんどの人は両方を使用しています。
合成カンナビノイドは正式にベーピング関連肺障害の流行の原因の一つとして確認されているわけではありませんが、その可能性は大いに考えられます。これまでにわかったことから考えると、今回の流行にさまざまな原因が絡んでいることは確かですが、その中で合成カンナビノイドが果たしている役割の重要性は過小評価されているように思われます。
合成カンナビノイドの摂取は色々な意味で危険です。たとえばけいれん発作や、心臓発作、急性腎障害などを引き起こしかねません。でも、合成カンナビノイドが呼吸器疾患の原因となっているとしたら、それ以外の健康被害の増加が見られないのはなぜでしょうか?
実は、市場に最も出回っている電子タバコ Juul の使用と発作には関連があることがわかっています 42。FDA は 2019年 4月に調査の開始を発表し、過去 10年間に起こった、ニコチン入り電子タバコの使用に関連した発作と神経障害の症例報告を 127件集めました43。この情報が公表されたのは 2019年 8月で、ベーピング関連肺障害が流行している真っ最中でした。これらの症例にある神経障害は、高用量のニコチンの副作用であり、合成カンナビノイドが引き起こした問題ではないようです。FDA によれば、ユーザーが誤ってベープリキッドを飲み込むと発作が起きることがあるそうです44。
PART 3:研究室からの流出
ほんのわずかな無名の研究用化学物質が、今や最大のデザイナードラッグ群となったのには、どんな経緯があったのでしょうか?
合成カンナビノイドは色々な意味で、大麻禁止政策が生んだ副産物であると言えます。これらの化合物が広がったのは大麻がスケジュール1の規制物質であるからであり、そのことが、エンドカンナビノイド・システムを理解しようとする研究努力を阻んでいます。
植物性カンナビノイドが人間の脳や身体にどのように作用するのかを研究したくても、連邦法のおかげで研究者は、研究のために最も必要なもの——大麻抽出物を手に入れることができません。連邦法では、エンドカンナビノイド・システムを作用標的とする合成カンナビノイドは研究目的での使用が許されている一方、ごくわずかな例外を除き、大麻草から抽出されたオイルを研究に用いることは禁じられているのです。
そのためこの研究分野の草分けたちは、研究のために自分でカンナビノイドを作らざるを得ませんでした。このように人間がデザインした化合物を合成カンナビノイドと呼びますが、その分子構造と作用は THC をはじめとする植物性カンナビノイドのそれとは大きく異なっています。47
アレクサンドロス・マクリヤニス(Alexandros Makriyannis)、ラファエル・ミシューラム(Raphael Mechoulam)、ジョン・W・ハフマン(John W. Huffman)など、革新的研究を行った化学者たちは、それぞれに化学物質を開発してカンナビノイド科学を前進させました。彼らは1990年代の大半を、それまで以上にパワフルな研究用のツールとしての、非常に強力な合成カンナビノイドを探し求めることに費やしました。もしかしたら彼らは、安全で新しい(つまり特許取得が可能で)医療効果のある化学物質を作って大儲けができたかもしれませんが、実際には薬物の設計が何度も繰り返されました。新しい化学物質は、それまでの化学物質をほんのちょっと変化させることで生まれ、その効力(あるいは効力の欠如)によって、カンナビノイド受容体の隠れた一面を明らかにする可能性があったのです。
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薬物を設計する人は、効力と安全性を秤にかけなければなりません。効力が高いことが最優先だった初期の合成カンナビノイドは、優れた研究ツールであることを目的として開発されたものであり、人間にとってそれが安全であるかどうかは二の次でした——なぜならこれらの化学物質は研究室から外に出るはずではなかったからです。それは人間が摂取するために作られたものではありませんでした。
基礎研究ではこれまで、数百種類の合成カンナビノイドが広く使われ、その中には THC よりもはるかに強力なものがあります。それらの化学式は学術誌に掲載され、闇市場で活動する化学者はそうした化合物の一部を大麻草の合成代替品として再現し、販売することが可能になりました。そんな化合物の一つが、最初に製造されたクレムソン大学の研究所から不注意によって流出し、後に非合法のストリートドラッグとして登場することになった、CB1 受容体の強力な作動薬である JWH-018 です。48
2008年、ドイツで売られていた「スパイス」から JWH-018 が検出されました 49。次に「CP-47」という、やはり強力な合成カンナビノイドが見つかりました。ドイツ政府は JWH-018 と CP-47 を禁止しましたが、数週間後にはそれらに替わって別の類似物質が販売されるようになりました。それらの中には、たった一つの原子に変更が加えられただけのものもありました 50。この法の抜け穴の存在によって合成カンナビノイドは一人歩きを始めます。化学組成を変化させることは同時にその危険性も変化させ、消費者がそれを摂取すれば何が起きるかわからない状況でした。
2019年現在、世界中のさまざまな製品から、1000種類を超える合成カンナビノイドが検出されています。51
大麻と合成カンナビノイド
大麻草そのものの過剰摂取による死亡例はこれまで一つもないのに、合成カンナビノイドがそれほど危険なのはどうしてでしょうか?
合成カンナビノイドが危険である理由の一つは、安全性を示すこれまでのデータがないからです。それが非常に高い効力を持っていること自体が必ずしも危険なわけではありません。「効力」とは単純に、ある薬物から平均的な効果を得るために必要な用量を示す数値であり、その薬物がどんな作用を持っているかについては何も示しません。
効力の高さだけが問題なのならば、合成カンナビノイドの怖ろしい作用は、高用量の THC を摂取した場合にも起きるはずですが、そんなことはついぞ起こったことがありません。合成カンナビノイドが毒性を発揮する機序はよくわかっていませんが、その一方で、大麻草には、高 THC の抽出物でさえ死に至る毒性はないことがわかっています。
薬物が持つ肉体的・精神的作用は複雑ですから、薬物の使用が人体に与える影響についての研究分野である薬理学の用語を借りて説明しましょう。薬理学の研究においては、効力の他に、有効性、オフターゲット作用、機能選択性などの重要な尺度があります。この4つの薬理学的概念は、植物性カンナビノイド、内因性カンナビノイド、そして合成カンナビノイドの違いを理解するのに役立ちます。
- 効力(Potency)とは、薬物がある効果を発揮するのに要する用量のことです。一般に合成カンナビノイドは THC よりはるかに高い効力を持っています。知ってか知らずか AMB-FUBINACA がスプレーされた大麻のジョイントを吸う人は、一本くらい吸っても大丈夫と思うかもしれませんが、AMB-FUBINACA は純粋な THC の 50〜80倍の効力を持っています。
- 有効性(Efficacy)とは、その薬物が持つ最大限の効果のことです。THC の有効性はほとんどの内因性カンナビノイド(THC がその働きを模倣する、人体が産生する化合物)より低くなっています。つまり、高用量の THC を摂ってもその最大値は決まっています。それ以上の THC を摂っても CB1受容体の活性(つまり精神作用)はある一定の値以上にはなりません。一方合成カンナビノイドの場合、最大値が植物性カンナビノイドや内因性カンナビノイドよりもずっと高いので、過剰に摂取すれば健康に非常に有害なのです。
- オフターゲット作用(Off-target activity)は、THC と合成カンナビノイドでは大きく異なります。THC と合成カンナビノイドはどちらも、CB1 受容体を活性化することによって多幸感(あるいは不快感)を引き起こします。ただし THC にも合成カンナビノイドにもさまざまなオフターゲット作用があって、それらはカンナビノイド受容体以外の受容体や体内のさまざまな器官に作用し、それが副作用や有害性の原因となることがあるのです。THC と合成カンナビノイドのオフターゲット作用が似ていると考える理由はありません 52。これについてはあまり研究が行われていませんが、おそらくそれは合成カンナビノイドにはそれぞれ異なったプロフィールがあることが一因かもしれません。
- 機能選択性(Functional selectivity)とは、2つの異なった化学物質はたとえ同一の受容体に作用したとしても細胞内では異なった効果が起きるということです。これは「バイアスのある(偏った)活性化(biased agonism)」と呼ばれる現象です。
ある薬物の、ある受容体に対する効力と有効性は、細胞アッセイを使って比較的容易に計測できますが、オフターゲット作用とその薬物の機能選択性を測るのは易しいことではありません。合成カンナビノイドは年々、より新しくて未知の合成カンナビノイドによってあっという間に取って代わられるのですからなおさらです。
AMB-FUBINACA の薬理学的特徴
THC と違って合成カンナビノイドが有害なのはなぜなのかを理解するために、一つの合成カンナビノイドの薬理学的特徴を例にとって考えてみましょう。
過去数年間、ニュージーランドで起こった死亡事例の数十件、ひょっとしたら数百件は、AMB-FUBINACA が関与しているのではないかと考えられています。そのためニュージーランドの研究者たちはこの合成カンナビノイドを非常に詳細に研究しています。その先陣に立っているのは、オタゴ大学の化学学部長であるミシェル・グラス博士です。
AMB-FUBINACA が最初に検出されたのは「Train Wreck 2」という名前の製品で、ところはルイジアナ州、ファイザー社がこの化合物の特許を取った5年後の 2014年のことでした 54。2017年にニュージーランドに上陸した AMB-FUBINACA は、またたく間にニュージーランドで最も一般的な合成カンナビノイドになりました。
オタゴ大学のポスドク研究員であったデヴィッド・フィンレーは、グラス博士の研究チームとともに 2019年に発表した論文の中で、AMB-FUBINACA の細胞間作用について論じています 55。『Chemical Neuroscience』誌に掲載された論文は、AMB-FUBICANA の CB1 受容体における機能選択性を調べ、その独特の毒性を、THC の作用の穏やかさと比較しています。
著者らはその作用機序を非常に技術的かつ詳細に論じています。専門用語の中で迷子にならないよう気をつけながらその内容を見ていきましょう。
AMB-FUBINACA は、ある「標準経路」(サイクリックAMP の産生によって決まる Ga放出)を通じて CB1 受容体を活性化する効力が THC の 25 倍です。別の標準経路(Gタンパク質放出の尺度である ERKリン酸化)でも同程度に THC の効力を上回っていました。この2つの経路はおそらく、THC と低用量の合成カンナビノイドが引き起こす多幸感、また高用量の THC および合成カンナビノイドが引き起こす不安感に関与しています。
効力が高いだけでなく、 AMB-FUBINACA の分子1個が細胞内で発揮する活量は、THC 分子1個のそれの2倍でした。言い換えれば、pERK アッセイによって計測された THC の有効性は AMB-FUBINACA の半分でした。
要するに、 AMB-FUBINACA の効力が高いということはユーザーが誤って過剰摂取しやすいということであり、有効性が高いということは過剰摂取によってより深刻な影響が出る可能性があるということです。
CB1受容体の脱感作と内在化
合成カンナビノイドの CB1 受容体への作用の仕方は特に有害です。最も大きな害を及ぼしているのは、細胞が、強力な合成カンナビノイドの作用から回復しようとして過剰に反応しているからなのでしょうか?
人体は常に均衡を維持しようとしています。これはホメオスタシスと呼ばれる現象で、この適応能力こそが生命の証なのです。受容体が極度に、あるいは長時間にわたって活性化すると、細胞は受容体に対する感受性を低下させて(脱感作して)正常な状態に戻ろうとします。
化合物の中には、特に脱感作を起こしやすいものがあります。52 そうした化合物は細胞を騙して受容体が過度に活性化していると思い込ませ、ホメオスタシスの働きを作動させて受容体の機能を低下させます。
ニュージーランドの研究者らは、CB1 受容体が細胞の表面で薬物がアクセスできる状態でいる時間を測定することによって脱感作の度合いを測定しました。AMB-FUBINACA を投与すると、3分以内に、脱感作した CB1 受容体の半数以上が細胞内に移動しました。これを内在化と言います。一方、高用量の THC が同等の内在化を引き起こすには 20分近くかかりました。
AMB-FUBINACA はまた、脱感作の程度を示す典型的な指標である β-アレスチンも、THC とは比べものにならないほど大量に産生させました(THC は超高用量でさえ細胞の β-アレスチン経路をほとんど作動させませんでした)。β-アレスチンは前述のホメオスタシスのメディエーターで、通常、受容体の活性化後に受容体と結合し、活性過剰な受容体へのアクセスを低減させることによって均衡を促進します。
その他にも β-アレスチンは、受容体の活動の代替シグナリング経路の役割も果たすようです 57。人体内においては、β-アレスチンを媒介してシグナリングを行えるほど高い効力を持つ化合物は AMB-FUBINACA だけであると考えられています 58。したがって、AMB-FUBINACA に特有の毒性は、アレスチンのシグナリングに対する機能選択性に関連しているのではないかと論文の著者らは指摘しています。
自然なバイアス
大麻草は、人間が生まれ持つ CB1 受容体の活性剤(作動薬)であるアナンダミドと 2-AG と呼ばれる内因性カンナビノイドとはどこが違うのでしょうか? また受容体の作動薬として、内因性カンナビノイドは合成カンナビノイドとどこが違うのでしょうか?
オタゴ大学のフィンレーは、シャオ・ヂュゥらとともに、合成カンナビノイドの研究に用いたのと似た方法でこの問題に取り組みました 59。まず彼らは CB1 受容体の、過剰刺激による内在化に注目しました。
THC に対する反応は2つの実験で一貫していました。2つの研究から得られたデータはいずれも、CB1 受容体を細胞内に内在化させる力は THC の方がアナンダミドより弱く、アナンダミドは 2-AG と AMB-FUBINACA よりも弱いことを示していました。
内因性カンナビノイドについて言えば、2-AG がどちらかと言えば全体のトーンに影響するのに対してアナンダミドはストレスに反応してその量が急速に増減すると考えられています 60。細胞の研究もそのことを裏付けています——まず 2-AG の量によって内在化の速さのベースラインが決まり、アナンダミドの産生量が増えたり減ったりすることによって身体は CB1 受容体の活性を、脱感作を起こしすぎることなく速やかに調節するのです。
これらの実験結果は、医薬品開発において注目が集まっているトピック——内因性カンナビノイドの分解を阻害し、間接的に CB1 受容体のシグナリングを強化させる化合物——にとって大きな意味があり、内因性カンナビノイドがもともと持っているバイアス(偏り)は、エンドカンナビノイド・システムを調整する酵素を作用標的とする新薬がなぜ臨床試験の先に進まないのかを示唆しています。
THC 恐怖症のせいなのか、特許が取れる分子の研究の方がモチベーションが上がるからなのか、それとも本物の科学的関心からなのかはわかりませんが、製薬会社はカンナビノイドの新たなモジュレーターを探しています 61。特に、FAAH および MAGL という、それぞれアナンダミドと 2-AG を分解する酵素を阻害するものを探し求めているのです。そのような化合物は、THC のような切れ味の悪いツールと比べ、よりターゲットを絞った治療を可能にする、という疑わしい言い分がその理由です 62。
ところが、第1相試験まで行った BIA 10-2474 と呼ばれる FAAH 阻害薬が新薬となる可能性を阻んだのは、オフターゲット作用でした。BIA 10-2474 の臨床試験は、被験者の1人が有害なオフターゲット作用によって死亡し、5人が入院したことによって中止されたのです。63
酵素阻害薬の開発に立ちはだかる障壁はオフターゲット作用だけではありません 64。アナンダミドと 2-AG がともにもともと持っている作動性の偏りは、THC よりも強く、また効率的に受容体の内在化を促進します。したがって、内因性カンナビノイドの体内量を増加させる薬は耐性がつく原因となり、用量の増加が必要になります。実際に予備研究では、MAGL 阻害薬の治療用量を摂取すると急速に耐性がつくことが明らかになっています 65, 66。
薬理学的データの解釈
この複雑な薬理学的特徴から、それが人間の健康にとってどういう意味を持つのかを完全に解読するのは不可能です。このレポートにある断片的なデータと専門用語を解釈しようとするならば、効力、有効性、機能選択性(バイアス)、オフターゲット作用という4つの重要な尺度に立ち戻ることが役に立ちます。
さまざまな基礎研究の分析から得られる洞察は、ある一点で交わっています——つまり、THC は、数十年間にわたって人々に故意に植え付けられてきた THC に対する恐れとは裏腹に、エンドカンナビノイド・システムに穏やかに作用する、ということです。CB1 受容体を作用標的とし、かつ THC より危険性の低い新薬を製薬会社が作るのは非常に難しいでしょう。
植物性カンナビノイドの方がはるかに安全なのは、単に THC が AMB-FUBINACA その他の合成カンナビノイドと比べて効力が低いからではありません。THC は有効性も低いため、過剰摂取による害に限界を与えるガードレールが備わっているのです。
また THC には CB2 受容体に与えるオフターゲット作用があり67 、それによって、CB1 受容体の活性化によって引き起こされ得る有害な作用を一部相殺できる可能性があります。たとえば、肝臓の CB1 受容体の活性化による線維化促進作用は CB2 受容体の活性化によって減少させることができます 68。THC が CB2 受容体を活性化させるということは、大麻の使用とインスリン感受性の向上という意外かつ喜ばしい関係を説明しているかもしれません 69,70。CB1 と CB2 受容体の両方を無差別に活性化させることで、純粋に CB1 受容体のみを活性化させることによる副作用が減少するのです。
THC はまた、通常煙に含まれる化学物質の有害性を増強する、CYP1A と呼ばれる発がん性酵素の働きを阻害します。大麻草を喫煙する際の煙にも発がん性物質が含まれているにもかかわらず、大麻の喫煙と肺がんに関連性が認められないのは、この有益なオフターゲット作用のおかげなのかもしれません。71
THC が持つ機能選択性もまた、THC よりはるかに依存性が高く深刻な離脱症状を引き起こす合成カンナビノイドと比べて THC の方が安全である理由かもしれません。THC にもともと備わっているバイアス——脱感作しにくく β-アレスチン経路を発動させる力が弱いこと——があるために、THC は依存と辛い離脱症状を形成しにくく、したがって安全である、というのはあり得ることです。
これらの推測が実証あるいは反証されるためにはまだまだ多くの臨床試験が必要です。薬理学的(かつ前臨床的)な面では、ある化合物が医療効果をもたらす能力と脱感作の起こりやすさとの間の相対的な偏りを確認する必要があります。
ただし、科学が私たちを導くことができるのはここまでです。合成カンナビノイドがタバコよりも強い毒性を持っていることは明らかであるにもかかわらず、タバコが年間約48万人の死者を出しているのに対して、合成カンナビノイドは、アメリカでは公式にはほんの数例の死亡事例を引き起こしたに過ぎないとされているのです。74,75
これらがどこまで大きな問題になるかは主に、薬物政策とその失敗によって決まります。ベーピングに関連するパニックは、大麻、タバコ、電子タバコに関する法律や規制の重要な変更を誤った方向に導くために利用されるべきではありません。
Project CBD のチーフ・サイエンス・ライターであるエイドリアン・デヴィット・リー( Adrian Devitt-Lee)は、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで数学の博士課程に在籍中。
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脚注と参照文献
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- CDC の報告書では、4名が合成カンナビノイドの使用を認め、289名は認めなかったという表がある14。CDC はまた、医師が患者に合成カンナビノイドを意図的に使ったかと尋ねたと言っている。
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- これらの化学物質は全部まとめて New Psychoactive Substances(NPS)と呼ばれることが多い。それによって新たな研究用化学物質それぞれの違いがわかりにくくなってしまう。メフェドロンや MDPV といった合成カチノンは 2008年〜2011年に主要な NPS として普及した。現在使用される NPS の大半は合成カンナビノイドであると考えられている。フェンタニルの類似体やその他の新しいオピオイドも問題として大きくなりつつある。
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- 本稿においては、工場で製造される THC、マリノールは「合成カンナビノイド」ではない。結晶化した CBD も合成カンナビノイドではない。ここで言う「合成」とは、もともとは研究のために人間が設計したものであるということで、往々にして人間が使用した際の安全性は考慮されず、自然界には存在しない。マスコミなどが「合成マリファナ」という言い方をすることがあるが、これは残念な間違いである。
- JWH は John William Huffman の略。
- 合成カンナビノイドが市場に流出した時期をはっきりと特定するのは難しい。スパイスは 2002年という早い時期から販売されていた可能性もある。Research Triangle Institute は、John Huffman 執筆の記事の中で、合成カンナビノイドがヨーロッパで最初に見つかったのは 2006年だったと述べている。
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- One clinical trial on a FAAH inhibitor was halted because of deadly off-target actions.
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- たとえば、オピオイドの過剰摂取による呼吸不全は β-アレスチンのシグナリングによるものである一方、その鎮痛作用は Gタンパク質が媒介しているものと考えられている。ただし、基礎研究から得られるこうした知見は、人を死に至らしめないオピオイド薬の創薬にはつながっていない。バイアスのないオピオイド作動薬で臨床試験を終えたものは現在のところ存在しない。
- THC と、嗜好用ドラッグとして使われたことが報告されていない2つの研究用化学物質 CP55,940 および WIN55,212-2 と比較した場合。
- Zhu, Xiao, et al. “Model‐Free and Kinetic Modelling Approaches for Characterising Non‐Equilibrium Pharmacological Pathway Activity: Internalisation of Cannabinoid CB 1 Receptors.” British Journal of Pharmacology, vol. 176, no. 14, 2019, pp. 2593–2607., doi:10.1111/bph.14684.
- 内因性カンナビノイドは通常、身体にストレスがかかったときにオンデマンドで産生・放出されると考えられている。2-AG はアナンダミドよりはるかに体内濃度が高いため、身体はアナンダミドの量の微妙な変化に対してより敏感に反応する可能性がある。
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- ある薬物が内因性カンナビノイドの分解を阻害するとしたら、その活性が強まるのは身体がすでにカンナビノイドを放出している場合のみであるというのがその論拠だが、これにはいくつもの穴がある。具体的に一つ挙げれば、これらの酵素は内因性カンナビノイドのみに選択的に作用するわけではないという点だ。FAAH はアナンダミド(AEA とも呼ばれる)の他にも、PEA と OEA を含む複数の重要な分子を代謝する。
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- 動物種による違いも FAAH 阻害薬の開発の大きな障害になっている。ラットには FAAH 酵素は1種類しかないのに対し、人間とマウスには2種類ある。さらに、げっ歯類と人間の FAAH は遺伝子的に異なっており、ラットの病気に効くからと言って人間にも効くとは考えにくい。
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- 何がオフターゲット作用であるかはある意味、何を評価基準とするか次第である。THC は CB1 と CB2 受容体どちらにも高い親和性を持ち、CB2 受容体の活性化は一次作用の一つであると考えられる。
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